コンゴで広まる手作りドラッグが、人々をゾンビのように変えている
コンゴ民主共和国の首都・キンシャサで、新種のドラッグが流行っている。現地語でボンベイ(bombé)と呼ばれるその手作りドラッグは、行動的な若者を、次々とゾンビのように変えているという。
車のパーツから手作りするドラッグ
ボンベイの材料は、自動車の排ガスを浄化する触媒装置のフィルター部分だ。蜂の巣状になったセラミック製のフィルター(セラミック担体)の表面には、プラチナやパラジウム、ロジウムなどが配置され、排ガス中の有毒物質を化学反応で除去するようになっている。
このフィルターを削って粉末にし、市販されている抗不安薬などと混ぜると、ボンベイが出来上がる。
若者がゾンビ化
海外メディアによれば、ボンベイを使用した人は、体が固まって動かなくなってしまうという。立った姿勢のまま、ときには何日間もじっとしていたり、あるいは、ゾンビのようにふらふら彷徨ったりすることもあるそう。毒物学者であるNdelo Di Panzu教授は、現地メディアの取材を受けてこう話す。
「それ(ボンベイ)を使用すると、若い人たちがゾンビのようになります。意識のない状態になり、歩き方は変わり、立ったまま眠り、腕を掻き始めます。表情も変わります。ときには理由なく泣き出したり、笑い出したりもします」
実際にそうなった人たちの姿が、YouTubeにアップされている。ロイター通信社も現地取材した様子をYouTubeにアップしている。
こうなった人たちは、もちろん入浴することなく体は汚いまま、また、物を食べる気もなくなるとのこと。ドイツメディアが取材したある使用者によれば、排ガスフィルターの粉には食欲増進剤を砕いて混ぜるそうだ。「そうしないと、2日間何も食べなくなってしまう」という。
主原料になる排ガスフィルターは廃棄されるものなので、1回分のボンベイを作るのにかかるコストは約1ドル(約113円)と安い。そのせいもあって、キンシャサの若者の間で急速に広まっているとのこと。
また、貧困の苦しみも、このドラッグを広める原因になっているらしい。ある使用者がメディアにこう話している。
「ボンベイは全てを忘れさせてくれる。欧米人は銀行に貯金がある。俺には何もない。ボンベイがあれば、全てが楽になるんだ」
有害物質たっぷりの排ガスフィルターから作られるボンベイは、流行り始めてからまだ数ヶ月。人体にどんな影響があるかは全く分かっていない。(了)
出典元:Odditycentral:The Zombies of Kinshasa – Victims of a Bizarre Artisanal Drug(10/20)
出典元:YouTube/Reuters:Congo’s car exhaust drug craze causes alarm(9/27)