中国で女性写真家に批判殺到、ディオールの写真をきっかけに過去の作品も対象に
中国の著名なファッション写真家の作品が、中国人を侮辱しているとネット上で批判されている。
目が細い女性の写真
その女性写真家とは、Chen Manさん(41)。彼女が撮影した女性の写真は、ファッションブランド「ディオール」の上海でのショー(展示会)に使われていたという。
そこには目が細く、日焼けしたそばかす肌のアジア系モデルが、ディオールの財布を持っている姿が映っていた。
How dare Chen Man create photographs of people not enhanced by plastic surgery and Photoshop, and whose skin is not porcelain white and whose eyes are not big and round?
How dare she? 😒#ChenMan pic.twitter.com/lzVqP1D4jO
— MrTalman (@mr_talman) November 25, 2021
しかしその後、中国のネット上ではこの写真に批判が殺到。中国のメディアも「写真家はブランドや西側世界の美的感覚にこびている」や「長年にわたってアジア女性は、欧米の見方によって常に、小さな目とそばかすで表現されてきた。だが、芸術と美に対する中国の評価の仕方は、それによってゆがめられることはない」と伝えたという。
このような批判を受けて「ディオール」は謝罪。「中国の人々の気持ちを尊重します」「中国の法律や規則を厳守します」と声明を発表し、写真を削除。しかしChen Manさんに対する批判は、過去の作品にも飛び火した。
過去の作品にも批判が殺到
今回、批判された女性の写真は、2012年にイギリスのファッション誌「i-D」で公開された12人に及ぶ少数民族の女性の写真と同じスタイルで撮影されており、それらにも批判が集まったという。
Chen Man is a famous photographer. But recently, a group of photos she took for Dior has been criticized by the Chinese people.
Beauty is diverse, and things like art have their own loves. But this group of photos really does not meet the Chinese aesthetics, what do you think? pic.twitter.com/LuIRNwHFyo— Scopri la Cina (@HuiyiWang7) November 25, 2021
また初期に撮影された、「若き先駆者たち(Young Pioneers)」という写真集にも、批判が寄せられたそうだ。
これには、中国の三峡ダムなどの主要なランドマークを背景に映っている若いモデルの写真や、ドレスの下から中国初の月周回衛星が飛び出してくる写真が含まれていたという。
中国のネット上にはこれらの作品についても、「暗示的な児童ポルノであり、共産党系の青年組織の名称である『若き先駆者たち』を侮辱している」といったコメントが寄せられた。
このような批判に対して、Chen Manさんは「ほぼすべての批判的コメント」を検討した結果、「謝罪する必要があると感じた」とした上で、次のように述べたという。
「深く反省し、当時の自分の甘さ、無知を責めました。やはり皆さんに正式にお詫びしなければならないと思っています。私は生まれも育ちも中国人で、祖国を深く愛しています。そして、アーティストとして、中国の人々の文化を記録し、広めるという使命に対する責任があることを、深く理解しています。中国の歴史について学び、関連のイベントにもっと出て、イデオロギーを改善させます。(中略)自分の作品を通して中国について語るよう努力していきます」(了)
出典元:ABC News:Chinese fashion photographer in Dior controversy apologizes(11/25)
出典元:BBC:ディオールの「小さな目」の写真に批判、写真家が謝罪 中国(11/24)