ウクライナにある「種子バンク」が危機に直面、ロシア軍の攻撃により
ロシア軍の攻撃により、ウクライナにある「種子バンク」が破壊される危機に直面している。
2000種類の遺伝子を保管
この「種子バンク」はウクライナ北東部の都市。ハルキウにあり、地下には約2000種類の作物の遺伝子コードが保管されているという。
しかしこの町は連日、ロシア軍による激しい攻撃を受けており、現在「種子バンク」も破壊の脅威にさらされているそうだ。
実はすでに5月の初めにも、国立種子バンクの近くにある研究施設がロシア軍に攻撃され、被害を受けている。
世界で10番目の規模を誇る
国連食糧農業機関が設立した非営利団体「クロップ・トラスト」によると、ウクライナにあるこの「種子バンク」は世界で10番目の規模を誇るという。
そして気候変動が激しくなるにつれ、79億の人々に十分な食糧を供給するために、貯蔵された遺伝子材料はますます不可欠になっているそうだ
しかしここの貯蔵庫にある種子のうち、バックアップを受けたのはわずか4%だとされている。
気候変動が作物に影響を及ぼす
英紙「Guardian」によれば、そもそも農業、林業、漁業、養殖業など、すべての食糧システムは、気温の上昇、山火事、干ばつ、洪水などの影響を受け、気候の危機を抑制するための行動がとられなければ、作物の損失は壊滅的なものになるという
実際、すでに世界にある植物の5分の2が絶滅の危機に曝されているそうだ。
しかも地球上には少なくとも20万種の食用植物が存在すると言われているが、人類のカロリー摂取量の半分以上をトウモロコシ、米、小麦の3種類に頼っているのが現状。このため世界には約1700の「種子バンク(遺伝子)」があり、科学研究が進められている。
また「種子バンク」は教育や種の保存、先住民の文化保護に役立っているそうだ。
「クロップ・トラスト」のエグゼクティブ・ディレクターは取材に対し、次のように語っている。
「種子バンクは人類の生命保険のようなものです。干ばつや新しい害虫、病気、気温の上昇に耐えられる新しい植物品種を育成するための原材料を提供しているのです。ウクライナの種子バンクが破壊されれば、悲劇的な損失となるでしょう」(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war latest: Russian troops control most of Sievierodonetsk; Russia cuts gas supplies to Netherlands, Denmark and Germany – live(5/31)