元大統領顧問のスティーブ・バノン氏に有罪判決、禁固1年の可能性
トランプ大統領の元首席戦略官(上級顧問)だったスティーブ・バノン氏が、議会侮辱罪で有罪となった。
2つの侮辱罪で有罪判決
7月22日、アメリカのワシントンD.C.にある連邦裁判所では、2021年1月6日に起きた連邦議会襲撃事件に関連して、バノン氏の裁判が開かれた。
連邦裁判所の陪審員は3時間足らずで評決を下し、バノン氏が議会襲撃事件の調査を行っている下院特別委員会の召喚状に応じなかったとし、それに起因する2つの議会侮辱罪で有罪判決を下した。
68歳のバノン氏は、評決が読み上げられた時、法廷で微笑んだという。また法廷の外で彼は「我々は今日、戦いに負けたかもしれないが、戦争には負けていない」と語ったそうだ。
Steve Bannon: “I only have one disappointment and that is the gutless members of that show trial committee, the J6 Committee didn’t have the guts to come down here and testify in open court.” pic.twitter.com/jkpJaKqo70
— CSPAN (@cspan) July 22, 2022
最高1年の禁固刑が科される可能性
バノン氏には昨年9月23日に、要求された文書を10月7日までに下院調査委員会に提供し、10月14日までに本人が出頭するよう命じる召喚状が出されていた。
しかし彼はそれに応じず、下院調査委員会への出頭を拒否したことにより、2件の侮辱罪で司法省から起訴されていた。
7月22日の午前中に行われた最終弁論で検察側は、バノン氏が明確な期限を故意に無視したと主張。一方、弁護側は、バノン氏がこれらの期限は柔軟で交渉の余地があると信じていたと主張したそうだ。
しかし今回、2件の侮辱罪で有罪となり、バノン氏にはそれぞれの罪状で、最低30日、最高1年の禁固刑が科されるという。ただしバノン氏は判決後、控訴する姿勢を見せている。
大統領特権の主張は禁止される
バノン氏はこれまで、召喚に応じなかった理由として、大統領との会話を秘匿できる大統領行政特権があるからと主張。
また彼はそれに関連して、召喚に応じなかったのは、弁護士からの法的助言に従った結果だと主張してきた。
しかし今回の裁判では、両方の主張をすることを裁判官に禁じられたという。その結果、バノン氏の弁護士は、「召喚の期限は柔軟で交渉の余地があると信じていた」と主張したそうだ。
ただし検察側の証人である調査委員会の上級スタッフであるクリスティン・アマーリング氏は7月20日、「バノン氏が2つの召喚状の期限を無視し、延長も求めず、その理由についても無効な根拠を示した」と証言した。
この裁判の判決が下される数日前、バノン氏は有罪判決を避けるためか、突然下院調査委員会で証言を行うと明らかにしていた。(了)
※スティーブ・バノン:保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の経営者。このサイトは右翼的な言論を発信し、一部から「女性や移民、非白人などへの差別意識をいっそう強めた」と批判された。またバノン氏は、「オルト・ライト」と呼ばれる白人至上主義のグループとのつながりも指摘されている。2016年の大統領選挙で、トランプ氏の選挙対策本部長に任命され、選挙後はトランプ政権運営全般にわたって大統領に助言を行う上級顧問と首席戦略官に指名された。
出典元:The Guardian:Steve Bannon convicted of contempt of Congress for defying Capitol attack subpoena(7/22)