OpenAI社のCEOが米議会で証言、政府による規制の必要性を訴える
AIチャットボット「ChatGPT」や、画像生成装置「Dall-E 2」を生み出したOpenAI社のCEOが、アメリカ議会の公聴会に初めて現れ、証言した。
「政府による規制介入が重要」
OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏は、5月16日に米上院司法委員会に出席。
人工知能の利益を可能にしつつ、害を最小限に抑える技術に対する規制のガードレールを支持するとし、次のように述べたという。
「OpenAI社は、人工知能が私たちの生活のほぼすべての側面を改善する能力を持つという信念のもとで設立されました。一方でそれ(人工知能)は、私たちが協力して管理しなければならない深刻なリスクも生み出します。(略)ますます強力になるモデルのリスクを軽減するためには、政府による規制介入が重要になると考えています」
ライセンスやテストの必要性を訴える
アルトマン氏は公聴会において、アメリカ政府がAIモデルの開発・公開に際して、ライセンス(免許制)やテストの要件を検討するよう求めたという。
同氏は、安全基準の設定と、モデルが展開される前に、合格しなければならない特定のテストを確立させることを提案。また独立した監査人が、発売前にAIモデルを検査できるようにすることを提案したそうだ。
さらにユーザーが投稿したコンテンツに対する、プラットフォーム(SNS)の責任を免除する「通信品位法230条」のような既存の枠組みは、このシステムを規制する正しい方法ではないと主張したという。
その上でアルトマン氏は、「非常に新しい技術には、新しい枠組みが必要だ」と述べたそうだ。
NY大学の教授も規制機関の設立を提言
同じく公聴会で証言したニューヨーク大学の心理学・神経科学の名誉教授であるゲイリー・マーカス氏も、この技術に対する新しい規制機関の設立を訴えた。
マーカス氏は、複雑で動きが速いAIに対して、「規制を専業とする機関」が不可欠であると主張したという。
公聴会を通じて、上院議員たちはソーシャルメディアと生成AIの類似性を指摘し、ソーシャルプラットフォームの規制に関して政府が行動を起こさずに発生した問題から、彼らが学んだ教訓を述べ合ったそうだ。
今回の公聴会で多くの議員は、アルトマン氏が規制を求め、生成AIの落とし穴を認識したことを評価したという。
この技術に懐疑的な意見を述べるために招かれたマーカス氏でさえ、アルトマン氏の証言は誠実なものだと評価したそうだ。(了)
出典元:The Guardian:OpenAI CEO calls for laws to mitigate ‘risks of increasingly powerful’ AI(5/16)