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E・マスク氏、スターリンクの回線を遮断し、ウクライナ軍の攻撃を妨害していた

E・マスク氏、スターリンクの回線を遮断し、ウクライナ軍の攻撃を妨害していた
flickr_Daniel Oberhaus

起業家・イーロン・マスク氏について書かれた本が出版されることになり、その中身の一部が明らかにされた。

 

ドローンが通信の接続を失い、海岸に漂着

 

その本とは、ウォルター・アイザックソン氏が書いた『イーロン・マスク』だ。これはマスク氏の伝記とされ、来週の火曜日に発売されるという。

 

CNNはその本の一部を抜粋し、「イーロン・マスクが昨年、クリミア半島沿岸付近で、ロシアの軍艦に対するウクライナ軍のドローン攻撃を妨害するため、スターリンク衛星通信ネットワークをオフにするよう命じた」と伝えている。

 

また本には「潜水タイプのドローンがターゲットに接近した際に(通信の)接続を失い、人のいない海岸に流れ着いた」と記述されているそうだ。

 

ロシアの核兵器使用を懸念か

 

『イーロン・マスク』によれば、彼はロシアのプーチン大統領が、クリミアに対するウクライナの攻撃に核兵器で対応することを懸念し、スターリンクのエンジニアに攻撃地域のサービスを停止するよう命じたという。

 

その際、マスク氏は「ウクライナがロシアに戦略的敗北を与えると脅すのは、行き過ぎだ」と述べたそうだ。

 

すでにマスク氏は、ウクライナでの戦争のさまざまな段階で、スターリンクの通信を遮断させると脅してきたが、このような具体的な作戦の最中に、ウクライナ軍を切り捨てたと報じられたのは今回が初めてとなる。

 

当時、ウクライナ軍は国際的に承認された領海内で活動していたにもかかわらず、マスク氏はウクライナ軍のロシア軍艦への攻撃を、「ミニ・パールハーバー」と呼んでいたという。

 

通信の復旧も拒否

 

マスク氏は、ロシアの全面侵攻によってウクライナの通信が途絶えた当初、スターリンクのハードウェアをウクライナに供給することに同意していた。

 

しかし今回の本によれば、ウクライナ軍が反転攻勢を行うようになってから考え方を変え、「スターリンクは戦争に参加するためのものではない」とし、ウクライナへの提供を見合わせる姿勢に転じたという。(現在、通信は継続されている)

 

しかもロシア軍艦へのドローン攻撃が失敗した後、ウクライナの第一副首相でデジタル相でもあるミハイロ・フェドロフ氏が、マスク氏にスターリンク通信の復旧を懇願したが、マスク氏はそれを拒否。「ウクライナはもはや行き過ぎであり、戦略的敗北を招いている」と述べたそうだ。

 

Xがロシアのプロパガンダを広める

 

マスク氏は以前も、ツイッターでロシア側の主張に同調し、ウクライナ東部の一部を事実上ロシアに譲渡するよう提案していた。

 

また先週発表された欧州委員会の調査によると、マスク氏が所有するX(旧ツイッター)は、ウクライナ戦争に関するロシアのプロパガンダを広める上で、重要な役割を果たしていたという。

 

その調査では「予備的な分析によると、2023年前半にロシアの支援を受けたアカウントのリーチと影響力がさらに拡大し、特にツイッターの安全基準が解体されたことがその原動力となっている」との見方が示されたそうだ。(了)

 

 

出典元:The Guardian:Elon Musk ordered Starlink to be turned off during Ukraine offensive, book says(9/7)

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