フランスの水兵らに書かれた家族からの手紙、265年の時を経て開封される
以前、戦争中にイギリス軍によって押収された手紙が、今回初めて開封され、一部の内容が明らかにされた。
7年戦争で押収された手紙
その手紙は、1756年から1763年まで行われた7年戦争の時、フランス海軍の乗組員に宛てて、家族などが書き送ったものだという。
当時、イギリスはフランスと争っており、届けられる前の手紙を押収。しかしイギリス海軍本部が、手紙には軍事的意義はないと判断したため、未開封のままアーカイブに保管されてきたそうだ。
そして今回、ケンブリッジ大学の歴史学教授であるRenaud Morieux氏によって、手紙の一部が明らかにされた。
妻から海軍の夫への手紙
その手紙の1つは、1758年に妻のマリー・デュボスクさんが、フランス海軍の夫、ルイ・チェンバレン中尉に宛てたもので、次のように書かれていたという。
「あなたに手紙を書くのに一晩費やすこともできます。私はあなたの永遠の忠実な妻です。おやすみ、親愛なる友人。もう真夜中です。休む時間だと思います」
しかし、ルイ中尉が乗った「Galatee号」は1758年、ボルドーからケベックに向かう途中、イギリス軍に拿捕されていたことが、ケンブリッジ大学の研究者らによって判明したそうだ。
このためルイ中尉はこの手紙を受け取ることはなく、妻のマリーさんも翌年、夫がイギリス軍から釈放される前に、亡くなったと考えられている。
61歳の母親から息子への手紙
もう1つの手紙は、1758年1月27日付で書かれたもので、ノルマンディー出身の若い船員、ニコラ・クイネルさんの高齢の母親が、手紙を書かない息子を叱責する内容になっていたという。
そして61歳になる母親のマルグリットさんは、おそらく誰かに代筆してもらい、次のように手紙に書いていたそうだ。
「私はあなたのことを、あなた以上に、私のことよりも考えています。いずれにせよ、主の祝福に満ちた新年が明けて、おめでとう。私は墓に行くべきだと思います。私は3週間病気です。ヴァリン(仲間の船員)に私からの感謝を伝えてください。私に、あなたについて知らせてくれるのは、彼の妻だけですから」
3分の1が英軍に捕らえられる
1758年だけでも、フランスの水兵の3分の1がイギリス軍に捕らえられ、七年戦争の全期間を通じて、約6万5000人がイギリス軍によって投獄されたという。
その中には病気や栄養失調で死亡した人もいたが、解放された人もいたそうだ。
Morieux教授は、「Galatee号」の乗組員181名全員の身元と、彼らの4分の1に宛てられた手紙を特定。乗組員らと手紙を書いた人との、家族関係も調査したという。(了)
出典元:The Local:Confiscated French love letters finally opened after 265 years(11/7)