ドバイの洪水は人工降雨の影響か?SNSで噂が拡散
先日、中東のアラブ首長国連邦やオマーンでは、大雨に見舞われ、各地で洪水が発生したが、これが人工降雨(cloud seeding)によるものだとする主張が、ネットで広がっている。
ドバイでは幹線道路が浸水
アラブ首長国連邦 (UAE)のドバイは非常に乾燥しており、年間平均降水量は100mm未満だが、16日夜までの24時間で約160mmの雨量を記録。東部のアル・アインでは、250mmを超える降雨が観測されたという。
これによりドバイでは幹線道路が浸水し、多くの車が水没したという。
そして一部のSNSユーザーは、この異常気象が国内で最近行われた人工降雨によるものだと主張しているそうだ。
UAEでも人工降雨を行っていた
人工降雨とは、航空機を使用してヨウ化銀などの小さな粒子を雲に落とし、水蒸気を凝縮させ、雨を降らせるというもの。
この技術はすでに何十年も前から存在しており、アラブ首長国連邦でも水不足を解消するため、人工降雨を利用してきたという。
しかし「ブルームバーグ」の報道では、人工降雨のための航空機は、16日には配備されていなかったそうだ。
それに先週、気象予報担当者らは、低気圧が遮断され、暖かく湿った空気が引き込まれて、湾岸地域の全域で洪水のリスクが高まると警告していた。
アブダビ・ハリファ大学で、地球物理学と環境学を教えるダイアナ・フランシス教授も「このような強力で大規模な天候が予測される場合、地域規模の強力な雨の種をまく必要がないため、コストのかかるプロセスである人工降雨は実行されません」と語っている。
気候変動の影響の方が大きい?
また今回の大雨については、人工降雨よりも、気候温暖化の影響の方が大きかった可能性が指摘されている。
イギリス・レディング大学の気候科学者であるリチャード・アラン教授は、「雨の強さは記録的なものだったが、これは気候温暖化と一致しており、より多くの水分が嵐を引き起こし、豪雨とそれに伴う洪水の影響を徐々に強めている」と説明している。
最近の研究では、世界の温暖化が続く中、今世紀末までにアラブ首長国連邦の大部分で、年間降水量が最大約30%も増加する可能性があると示唆されているという。
そして人間が石油、ガス、石炭を燃やし続ければ、気候は温暖化し続け、降雨量は増え続け、洪水で命を落とす人が増え続けると考えられている。(了)
出典元:BBC:What is cloud seeding and did it cause Dubai flooding?(4/17)