アリがケガをした仲間の足を切断、損傷の度合いを判断し、手術をしていた!
アリの一種が、負傷した仲間の足を切断していることが、新たな研究で確認された。
効果的な治療法としての切断
そもそもアリは縄張り意識が強く、ライバルのコロニーと激しく衝突して怪我につながることもあると言われている。
そして科学誌「Current Biology」に掲載された研究によると、フロリダオオアリ(Camponotus floridanus)の場合、負傷した仲間の効果的な治療法として、切断を採用しているという。
この切断のプロセスには約40分もかかり、1 匹のアリが下顎で、仲間の患部の足を噛んで切断。さらにもう1匹が、その傷口を消毒し、きれいにするそうだ。
損傷した部位によって選択
ある研究者がスイスの研究所でアリの切断を観察したことを他の研究者に報告したところ、彼らはオオアリが「選択的」に切断を行っていることに気づいたという。
しかもどうやら、アリは傷の位置に応じて切断が必要かどうかを判断しているらしく、研究者らは、切断の背後にあるアリの決定プロセスに興味を持ち、切断されたアリのマイクロCTスキャンを実施したという。
その結果、損傷した部位が体に近いほど手術が行われる可能性が高いという仮説が導き出されたそうだ。
実際、傷口が脛骨ではなく、大腿骨付近にあった場合、アリの足が切断されていたという。
アリの大腿骨は、人間の血液の流れと同様、血リンパ(無脊椎動物の体液)の循環を担っており、それゆえに、これを切断することで感染の拡大速度が遅くなり、切断に十分な時間を確保できるそうだ。
一方、脛骨を損傷したアリは切断されず、そのまま傷の手当てを受けたという。
もっともアリが、どのようにして傷口を消毒し、清潔に保っておくのかは明らかになっていない。
ただ今回の研究は、ヒト以外の種が、どのようにして目的のある手術を行えるのかを初めて観察したケースになるそうだ。(了)
出典元:ABC News:These ants can perform leg amputations and know when it’s needed, study says(7/4)