「トルコでプーチンを待つ」ゼレンスキー大統領が直接交渉を提案

ウクライナのゼレンスキー大統領は5月11日、ロシアとの交渉で、直接プーチン大統領と話し合う用意があるとの驚きの提案をした。
「停戦について交渉の用意がある」
ロシアのプーチン大統領は5月11日、ウクライナに対し、交渉の用意があると表明。その上で両国の代表団が5月15日に、トルコで協議を開くべきだと一方的に主張した。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン大統領と直接会談するよう要求。声明を出し、次のように述べた。
「我々は、外交に必要な基盤を提供するために、明日(12日)から始まる完全かつ永続的な停戦を待ち望んでいる。殺戮を長引かせる意味はない。木曜日(5月15日)にトルコでプーチンを待つつもりだ。個人的には、今回はロシアが言い訳を探さないことを願っている」
We await a full and lasting ceasefire, starting from tomorrow, to provide the necessary basis for diplomacy. There is no point in prolonging the killings. And I will be waiting for Putin in Türkiye on Thursday. Personally. I hope that this time the Russians will not look for…
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) May 11, 2025
これまでの流れとは?
そもそもウクライナ側は、30日間の停戦に同意しており、停戦前に和平協議に入ることを否定。「まずは30日間の停戦だ。全てはそれからだ」と述べていた。
また5月10日にはフランスのマクロン大統領と、イギリスのスターマー首相、ドイツのメルツ首相、ポーランドのトゥスク首相らがウクライナの首都・キーウを訪問。
揃ってロシアとの戦闘で戦死した兵士を追悼した後、ゼレンスキー大統領とともにヨーロッパ各国やカナダ、オーストラリアなど30カ国近くが参加した、有志連合によるオンラインの首脳会議に出席した。
会議の後、ゼレンスキー大統領と4人の首脳は共同で記者会見にのぞみ、5月12日から少なくとも30日間、陸、海、空での無条件の完全な停戦を行うようロシアに求めることで合意した。
その際、イギリスのスターマー首相は、プーチン大統領が提案を拒否した場合、「我々はトランプ大統領や全てのパートナーと協力し、ロシアへの制裁を強化し、ウクライナ防衛のための軍事支援を増額することで対応し、ロシアを交渉のテーブルに呼び戻す」と述べたという。
そして11日の午前2時ごろ、ロシアのプーチン大統領は、このヨーロッパの国々からの要求に対する異例の回答として、声明を発表。
ロシア側とウクライナ側が直接会うことを提案し、協議を今週木曜日(5月15日)にトルコのイスタンブールで行う用意があるとした上で、「我々はウクライナとの真剣な協議の準備ができており、紛争の根本原因を解決したい」と述べた。
ロシア側は、まだ誰が出席するかは明らかにしておらず、外交問題の幹部が派遣されると予想されていたが、その後、ウクライナのゼレンスキー大統領が、プーチン大統領と直接会談することを提案した。
トランプ氏「直ちに応じるべきだ」
プーチン大統領による交渉の提案について、アメリカのトランプ大統領は11日、SNSで「ウクライナは直ちに応じるべきだ」と投稿。「少なくとも合意が可能か、見極めることができる」とし、すぐにウクライナに提案に応じるよう求めた。
しかしロシアのプーチン大統領はまだ、ヨーロッパ各国から要求された30日間の停戦には同意していない。むしろこれまでの流れを見る限り、ヨーロッパ各国の関与を、遠ざけようとしているかのように見える。
そのためヨーロッパ各国首脳は、プーチン大統領が停戦に同意するまで、交渉はすべきではないと主張してきた。
一方、ゼレンスキー大統領は、イスタンブールでプーチン大統領との直接会談を提案することで主導権を握り、会談に出席するか、あるいは譲歩するかを迫ろうとしているようだ。
このようなやり取りは外交が急速に進んでいることを示しているが、双方の根本的な立場がどれほど変化したのかは、明らかになっていない。(了)
出典元:The Guardian:Zelenskyy challenges Putin to meet in person for peace talks(5/11)