ガザ市でイスラエル軍が「大規模な虐殺」を準備か?国連が警鐘を鳴らす

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、ガザ地区北部のガザ市で、イスラエル軍が多くの住民を殺害する準備を進めていると、警鐘を鳴らした。
残った全員をテロリストとみなす
イスラエルのカッツ国防相は10月1日、ガザ市に残る住民に対し、退避を促す最終勧告を出し、ガザ市に留まるパレスチナ人全員を「テロリストまたはテロ支援者」と定義すると警告した。
またカッツ国防相は、「本格的な作戦が続く中、これは南部へ移動しようとする意志のある住民にとって、最後の機会となる」と述べた。
すでにイスラエル軍の戦車は、ガザ市への主要道路を封鎖し、包囲された市街地から脱出した人々の帰還を阻止しているという。
「大規模な虐殺を計画している」
カッツ国防相の発言を受け、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、ガザ市から出られない、あるいは出ようとしない者がイスラエル軍の標的になるという不吉な兆候だと非難し、次のように述べた。
「現在ガザ市と北部に閉じ込められている約25万人を、イスラエル政府が『テロリストまたはテロ支援者』と呼ぶことは、大規模な虐殺を計画していることを示唆する発言であり、女性や子供、高齢者、そして避難できない弱い立場の人々が殺される」
その上でラザリーニ事務局長は、「民間人を殺害する権限を持つ者はいない。ガザ地区で進行中の国際犯罪を黙認し続けることはできない。(略)今こそ行動を起こす時だ」と述べ、世界各国に訴えた。
Labeling the nearly 250,000 people currently trapped in #Gaza City & the north as “terrorists or terror supporters” by the Government of #Israel is a statement suggesting planned large scale massacres: killing more women, children, elderly & vulnerable people unable to move out.…
— Philippe Lazzarini (@UNLazzarini) October 2, 2025
国連は、ここ数週間で約40万人のパレスチナ人が避難したにもかかわらず、依然としてガザ市内に60万人から70万人が残っていると推定している。
現在「ハマス」側は、アメリカのトランプ大統領が提案した「20項目の和平計画」について検討しており、エジプト政府がカタールやトルコと協力し、「ハマス」に「和平計画」を受け入れるよう説得しているという。
世界各国が船団拿捕を批判
一方、イスラエル外務省は10月2日、ガザ地区へ支援物資を届けようとしていた「グローバル・スムード船団」の船舶のうち、40隻を拿捕したと明らかにした。
また乗船していた活動家らは拘束され、次々とイスラエル領内のアシュドッド港に到着し、強制送還の手続きが開始されているという。
Israeli forces raid Gaza aid flotilla, Greta Thunberg among some 200 activists arrested.
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— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 2, 2025
しかし国際水域で船舶を拿捕したイスラエル軍の行為に対しては、世界各国から非難の声が上がっており、トルコのエルドアン大統領は、この拿捕が「海賊行為」だと批判。カタール外務省も、拘束者全員の即時釈放を求めた。
メキシコのシェインバウム大統領も10月2日、記者会見で、「グローバル・スムード船団」に参加していたメキシコ人6名を本国に送還するようイスラエルに要請。また「人道支援はガザに届けられなければならない。船団の乗員は、いかなる犯罪も犯していない」と述べた。
ベルギーのプレヴォ外相も、イスラエルによる国際水域での船団拿捕を「容認できない」と非難し、イスラエル大使を召喚したという。
ガザ地区では10月2日も、イスラエル軍による激しい攻撃が行われ、夜明け以降、少なくとも53人のパレスチナ人が死亡。ガザ地区南部で29人、ガザ地区中部で14人、ガザ市で10人が、イスラエル軍によって殺害されたと言われている。(了)
出典元:Aljazeera:Gaza Sumud flotilla live: Israel intercepts ships, detains activists(10/2)