南極の氷河がこれまでより10倍速いペースで後退、新たな研究で判明

科学者たちが、南極半島東部で氷河の状態を観測し、短期間に、かなり氷が陸地へ後退していることが明らかにされた。
2カ月の間に8kmも後退
アメリカ・コロラド大学ボルダー校の氷河学者であるナオミ・オクワット氏によれば、研究チームは2021年から、南極半島の東海岸にあるラーセン湾地域を監視してきたという。
そこでは海岸線に張り付いた大きな海氷の崩壊が差し迫っているとみられていたが、やはり2022年1月までに崩壊したそうだ。
さらに研究チームは、同地域にあるヘクトリア氷河が、どのように反応するかを観察するために監視を続けたという。
その結果、研究者はヘクトリア氷河で、わずか2カ月の間に、5マイル(約8km)後退していることを記録したそうだ。
11月3日に「ネイチャー・ジオサイエンス」誌に掲載された論文の中で、研究者らは陸に接している氷河において、氷の後退の割合は、今まで観測されていた速度のほぼ10倍に相当すると明らかにした。
通常は年間で300mしか後退しない
そもそも研究者らによると、海に浮いておらず、陸地に固定されている着氷河は通常、年間約1000フィート(約300m)未満しか後退しないという。
しかし、2022年11月から12月にかけて衛星と航空機で撮影された画像では、氷河が1日に約800メートル後退した地点もあったそうだ。
最終的に氷原全体が海に露出し、氷河が海に浮かび、氷河の崩壊をさらに悪化させたと研究者らは述べている。
しかもヘクトリア氷河は現在も分離し、巨大な氷山を海に流し続けているという。
南極大陸には、他にも不安定な氷河があり、スウェイツ氷河(Thwaites Glacier)は、すでに全体の海面上昇の4%に寄与しており、パインアイランド氷河(Pine Island Glacier)は、南極大陸で最も急速に融解している氷河とされている。(了)
出典元:ABC News:Antarctic glacier retreating at rate 10 times faster than previously measured: Study(11/4)

























