Switch news

知っておきたい世界のニュース

【最新研究】1万年前から広がる犬の多様性-犬は古代からヒトと共に進化していた?

【最新研究】1万年前から広がる犬の多様性-犬は古代からヒトと共に進化していた?
University of Exeter_C. Ameen

人類と長く寄り添ってくれているワンコたち。現在、道を歩いていても小型犬から大型犬まで、様々なタイプの犬たちを見ることができる。こうした犬の多様性は、ヴィクトリア時代に誕生していたと考えられていたが、最新研究により古代からすでに出現していたことが明らかになった。

 

犬種改良が加速したヴィクトリア時代

 

近代的な犬の概念が生まれた時代と言われているヴィクトリア時代(19世紀イギリス)。産業革命で庶民の生活に余裕ができ、犬をペットとして飼う文化が広がった時代だ。

 

ブリーダーや愛犬家団体(ケンネルクラブ)が犬種を定義し、それまでの農作業や狩猟動物だった犬が「血統を持つ存在」として扱われるようになった。

 

特にドッグショーの登場で、犬種の基準が整い、ブリーダーが競い合うことで犬種改良が加速したと考えられている。

 

しかし、そんなヴィクトリア時代のずっと前から、犬は人類と共に進化してきたことが分かってきた。

 

犬の多様性は1万1千年前から存在

 

エクセター大学とフランス国立科学研究センター(CNRS)の研究者は、過去5万年にわたる643点の現代および考古学的イヌ科動物の頭骨(公認犬種、野良犬、オオカミを含む)を分析した。

 

頭骨の分析によると、家庭犬特有の形状(短い鼻先と広い顔)は、約1万1千年前のロシア北西部の化石に初めて現れたことが分かった。さらに、アメリカ(約8,500年前)やアジア(約7,500年前)からも家庭犬の頭骨形態を持つ早期の犬を確認。犬の多様性が比較的早い段階で、急速に現れたことが明らかになった。

 

▼古代の犬やオオカミの頭骨を使って、写真測量法で作成された考古学的家庭犬の3Dモデル

 

エクスター大学

 

研究では、犬の頭骨のより大きな多様性は約8,200年前以降に出現し始め、サイズのばらつきの増加は約7,700年前から現れたという。中石器時代や新石器時代には、すでに犬は様々な形やサイズであり、現代の犬の多様性の半分ほどに相当していた。ただし、パグやブルドッグのような極端に平たい顔やボルゾイのように極端に顔の長い犬種は、考古学的記録には存在していない。

 

人類と共に進化してきた遺産

 

こうした多様性が生まれた背景には、犬が狩猟犬や牧畜犬としてだけではなく、人類の相棒として、初期から人類が犬に様々な役割を求めてきた可能性を示している。

 

共同筆頭著者であるエクセター大学のカーリー・アミーン博士は、「これらの結果は、私たちと犬との関係がいかに深い歴史を持つかを浮き彫りにしています」とし、「犬の多様性はヴィクトリア時代のブリーダーの産物だけではなく、人間社会との数千年にわたる共進化の遺産なのです」と述べている。

 

この研究は、犬の起源に関する手がかりを探るものだが、オオカミからいつ・どこで・なぜ家畜化されたのかについてはまだ確かな答えはないという。また、残念ながら今回の研究には原始的特徴を色濃く残しているとされる日本犬は入っていない。日本の愛犬家としては今後の研究に日本犬が入ってくるのも期待したいところだ。

 

この研究は、2014年にスタートし、40以上の研究機関から集まった考古学者、学芸員、生物学者による国際チームが関わり、11月13日にScience誌にて公開された。(了)

 

出典:エクセター大学「Extensive dog diversity millennia before modern breeding practices」(11/13)

出典:Science「The emergence and diversification of dog morphology」(11/13)

出典:マンチェスター大学「The Invention of the Modern Dog: Breed and Blood in Victorian Britain」(2018/10/15)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top