独裁者の気分が味わえる?スペインでフランコ将軍の夏の邸宅が販売中
第二次世界大戦前後にスペインの独裁者として名を馳せたフランシスコ・フランコ将軍。彼の夏の邸宅が売りに出され、話題となっている。
15の寝室とチャペルまで備えた豪華な邸宅
今回売りに出されているフランコ将軍の夏の邸宅は、スペイン北西部ガリシア州アコルーニャ県のサダに位置し「Pazo de Meirás」の名で知られるもの。
邸宅には15の寝室とチャペル、狩りを楽しめる庭などが備わっており、その広さは6万5000平方メートルほどもあるという。
邸宅はフランコ将軍が1975年に死去した後に将軍の一人娘Carmenさんが相続していたが、昨年12月にCarmenさんが死去。
邸宅にはCarmenさんの死去以前には訪問者もいたというが、これを機に一般向けに販売されることとなったという。
邸宅を巡る様々な問題
しかし邸宅を巡ってはこれまで様々な問題が発生している。
邸宅は1893年に作家Emilia Pardo Bazanによって建築され、スペイン内戦が終了した1939年にフランコ将軍に無償で引き渡されたものだ。
#TalDiaComoHoy 1892 nace Francisco Franco Bahamonde, militar y dictador español, integrante del grupo de altos cargos de la cúpula militar que dio el golpe de Estado de 1936 contra el Gobierno de la Segunda República pic.twitter.com/YDCC3wYIMl
— Ruta por la Historia (@rutahistoriafm) December 4, 2017
一方、フランコ将軍の死後の1991年に邸宅はガリシア県における文化遺産とされ、2013年には国民の関心もあり、少なくとも月に4日は一般公開を行うよう、邸宅の相続者であるCarmenさんに対し要請が行われていた。
しかしCarmenさんは近年まで邸宅の一般公開を頑なに拒否。
その後、邸宅の管理はフランコ将軍の功績を称える団体「Francisco Franco Foundation」によって行われ、同団体は邸宅のガイドツアーをも開催していたという。
しかしこのガイドツアー開催に際しても、左翼団体などからは強く批判する声が上がっていたという。
フランコ将軍居住時代に退去させられた住人の問題も
それだけではない。
1939年、邸宅がフランコ将軍の手に渡ると、将軍は狩りのため庭を拡張させるとして、近隣の住民を強制退去。
この際退去させられた住民らは近年に至っても土地を返還するよう求めており、サダの地方議会では邸宅の販売を停止させ、フランコ将軍が邸宅に居住する以前に土地の権利を有していた人々に対して、土地を返還することをも考慮されているとのことだ。
サダの地方議会議員Francisco Montouto氏は「委員会がどのようにしてこれ(土地の返還作業)を行うのかという方法を見つけると同時に、邸宅の販売にかかる契約を無効にする合法的な手続きを取るため、作業を加速させていきたい」という。
一方、今回邸宅を販売している不動産業者「Mikeli Luxury Real Estate」は国外の購入者に焦点を定め、ホームページ上では邸宅とフランコ将軍の関わりについては言及していない。
だが同社がYou Tubeで公開している映像では、邸宅の歴史についても言及があり、さらにプライベートチャペルについては“ここが将軍が一日を始めた場所です”と伝えている。
さらに映像においては、フランコ将軍が治世のための業務をこなしていた図書室の机や椅子もが映し出されている。
ちなみに気になる邸宅のお値段は、日本円にして約10億円となっている。
フランコ将軍の治世から半世紀以上の時が流れても、いまだ残る“負の遺産”。邸宅の販売と土地の返還問題が今後どう落ち着くことになるのか、その行方を見守っていきたいところだ。(了)
出典元:The Local Spain:FOR SALE: General Franco’s summer palace(2/27)
出典元:Telegraph.co.uk:General Franco’s lavish Galician palace at centre of historical row(2/25)