世界保健機関が病原体「X」をリストに追加、未知の病気への準備を行う
世界保健機関(WHO)が、将来爆発的蔓延を引き起こす可能性があるウィルスのリストに、正体不明の病原体「X」を加えたことが明らかになった。
エボラやジカウィルスと共に加えられた「X」
WHOは先日、社会に対し高いリスクがあるものとして、強い感染力を持ち、治療法が限られているウィルスのリストを公表した。
このリストには、近年蔓延した「エボラ」や「ジカウィルス」「ラッサ熱」「SARS」なども依然深刻な脅威であるとして含まれているという。
しかしながら今年は、2月に専門家によって吟味された後、初めて「X」という不気味な響きを持つ病原体をリストに加えたそうだ。
「X」は「予期せぬもの」という意味
もっとも「X」は新しく発見された実際の病気ではなく、「未知のもの、予期せぬもの」という意味らしい。つまりこれは将来、地球上で広範囲に感染を引き起こす可能性がある、仮定の病気とされている。
そしてこの「X」は、深刻な病気の国際的な蔓延が、知られていない病原体によって引き起こされる可能性があるという知見を表しているという。
WHOのアドバイザーであるJohn-Arne Rottingen氏は、次のように語っている。
「歴史は私たちに語りかけてくれます、次に起きる大規模な感染の発生が、見たことのないものによって引き起こされる可能性があると。もっともXを加えることは奇妙に思えるかもしれません。要は私たちが準備をし、ワクチンや診断に関しても柔軟に計画することを確認したということなのです」
「私たちはどんなことにも対応できる、もしくは多くの病気に対応できるplug and play(有効で素早く対応できるもの)のプラットフォームを構築したいのです。そのシステムによって、私たちは迅速に対応策を作れるようになるでしょう」
またRottingen氏によれば、「X」はさまざまな感染源から発生する可能性があるが、動物由来の感染症として発達していく可能性があるという。
生活が変われば、リスクは常にある
実際、HIV同様エボラやサルモネラは両方とも動物由来の感染症であり、20世紀の初め頃にチンパンジーや他のサルから人間へと感染したと考えられているとか。
Rottingen氏は「生態系と人間の生息域が変化するにつれ、動物から人間に伝染する病気のリスクは常にあります。それは自然のプロセスなのです。私たちがそれに気づき、準備することが極めて重大なのです」
今回のWHOの発表は、あえて未知の病気を設定し、備えていく方針を改めて宣言したものといえるだろう。(了)
出典元:INDEPENDENT:World Health Organisation fears new ‘Disease X’ could cause a global pandemic(3/11)
出典元:CNN:World Health Organization gets ready for ‘Disease X’(3/12)