ユーラシア北部で最古のホモサピエンスか?露で発見された骨に注目が集まる
ロシアで骨の化石が発見され、それがどの種に属するのかを巡り、注目を集めている。
ヒトの骨や道具、動物の骨も発見
骨の化石が発見されたのは2年前の2016年、場所はイルクーツクの近く、Tunka という地区のBuryatian村にあるTunkinskaya谷とされている。
当時、そこでは道路建設が進められようとしていたため、ロシアの考古民族誌研究所の調査チームが現場へ急行。
発掘作業を行ったところ、地表から50cmの所で2つのヒトの骨や道具、そして複数の動物の骨を発見したという。
それぞれ年代が異なる2つの骨
その後、これらの骨に関して現在まで調査が行われ、2つのうち1つは約2万7000年前から約3万年前のもので、もう1つは約5万年前のものだと明らかになったそうだ。
また付近で発見された道具の中には、トパーズが半分含まれている石や水晶を削って作った鋭い刃先のものがあり、魔除けのお守りは洞穴ライオンの歯で作られていたとか。
このことから当時住んでいた者が洞穴ライオンやバイソン、ウマやシカの狩りをしていたとされ、しかも優秀なハンターだったとみられている。
ユーラシア大陸北部の最古の化石か
2万7000年前の骨はホモサピエンスのものであると明らかになったが、5万年前のものはどの種に属するのか分かっていない。
そのため現在も、ホモサピエンスかネアンデルタール人か、それとも別のグループなのか、調査が進められている。
しかしもし5万年前の骨がホモサピエンスだと判明した場合、これはユーラシア大陸北部で見つかった最も古いホモサピエンスの化石になる可能性があるという。
また、ここでは他にも古い骨が見つかっており、それらはホモサピエンスではないことが明らかになっているそうだ。研究所のMikhail Shunkov博士は次のように語っている。
「ここ数十年間に、シベリア南部における人類進化の発展に対する専門家の見方は、劇的に変化してきました。もっとも重要な疑問は、ホモサピエンスがいつシベリアに現れたかということです。そしてTunkaの谷での発見が、このことに光を当てるでしょう」
アフリカから中東、ヨーロッパへ広がる
ホモサピエンスはアフリカ大陸で誕生したと見られているが、昨年にはモロッコで、約30万年前の化石が発見されているという。
またその後、中東からヨーロッパに広がったと考えられているが、実際にイスラエルの洞窟では約20万年前のホモサピエンスの化石が発見されおり、この説を裏付けているそうだ。(了)
出典元:The Siberian Times:50,000 year old Siberian bones may be the ‘oldest Homo sapiens’ outside Africa and Middle East(5/21)