認知症の患者も自由に歩ける!仏で建設中のアルツハイマー専用の村が画期的
記憶が薄れていくアルツハイマー病の患者さんが、より自由に暮らせるよう、これまでにない施設がフランスで建てられることになった。
買い物もでき図書館へも行ける
その施設は「アルツハイマー村(Village Landais Alzheimer)」と呼ばれ、フランス南部の街、ダクスですでに建設が始められているという。
そもそもアルツハイマーの患者さんの多くは、老人ホームに入院するが、安全面を考慮して一般人と同じように行動できず、不自由を余儀なくされてきたそうだ。
しかしこの村は患者さんの自由度を増し、不安を軽減することを目的としており、薬物療法をせずに村の中を自由に歩けるようにデザインされている。
実際、施設は認知症の患者さんが方向を見失っても大丈夫なように、中世の砦のように周りが取り囲まれているという。
また患者さんは店で買い物ができ、美容室や床屋へ行くことも可能で、図書館やジムにも立ち寄れるなど、通常に近い形で暮らせるそうだ。
120人の患者さんが住む予定
実はこのような施設は地元の下院議員だった故Henri Emmanuelli氏によってデザインされたのだが、彼はオランダのWeespにある同様のモデル施設についての記事を読んだ後に、このプロジェクトを立ち上げたと言われている。
もっとも患者さんは安全のために村から出ることは許されていないが、村内なら自由に移動できるという。また常に通常の服装をした医療関係者などに見守られているそうだ。
実際にこの村では120人のアルツハイマーの患者さんが、100人の住み込みの介護従事者と、120人のボランティアとともに住むことになる予定だとか。
プロジェクトの支援者は、このような形にすることで患者さんはより行動的になり、薬の投与も少なくてすみ、老人ホームよりも幸せを感じられるはずだと語っている。
家族や医療関係者の負担も軽減
しかし同時に、このような環境にするメリットは患者さんに対してだけではない。患者の家族や介護をする人、そして医療関係者の負担も軽くする目的があるそうだ。
フランスのアルツハイマー・ランド協会のFrançoise Diris氏も、次のように語っている。
「私たちは患者さんの行動が制約されなくなり、不安も少なく、より幸せになることを願っています。同じことは医療関係者にも言えます。また家族もより気持ちを楽にさせることができ、罪の意識を持つようなこともなくなるでしょう」
この施設の建設費用は約2350万ドル(約26億円)、運営費は約800万ドル(約8.8億円)と言われている。(了)
出典元:The Telegraph:France starts work on revolutionary ‘Alzheimer’s village’ where patients roam almost free(6/4)
出典元:NYPost:France building ‘Alzheimer’s village’ where sufferers can roam free(6/6)