ローマでムクドリ駆逐のため、自然な解決策としてハヤブサが導入される
ムクドリといえば、日本でも人の集まる市街地をねぐらとし、鳴き声による騒音や糞害などといった問題を引き起こすことで困った存在としてみなされがちだ。
そんなムクドリを駆逐するため、イタリア・ローマでハヤブサを導入するという画期的な対策が行われており、注目を集めている。
糞の混ざった泥が危険だとして道路が閉鎖
ローマにおいて美しい建築物の上をムクドリの大群が飛び交うという光景は、最早ローマを象徴するものとなっているものの、やはり糞害の問題は深刻だ。
そんな中においてハヤブサを導入するきっかけとなったのは、ローマにおけるムクドリの糞と大雨が原因と言われている。
大雨によっては道路に蓄積されたムクドリの糞が流される一方、ムクドリの糞と水が合わさり形成された泥は滑りやすく、ドライバーにとっても歩行者にとっても危険な状態といえる。
このため大雨の際には観光地として名高いルンゴテヴェレの一部を含む、複数の通りが閉鎖される事態にまで至ることもあるという。
自然な解決策としてのハヤブサ導入
一方、このようなムクドリの問題を解決へと導くため、ローマではここ数年にわたりハヤブサを試験的に導入。
ローマ地方自治体で環境維持を担当する部署がコメントしたところによると、“クルエルティ―フリーで環境保護的、そして自然な解決策”として考案され、ハヤブサを操るための鷹匠の配置も予定されているという。
またムクドリ駆逐にあたっては、ムクドリが嫌がる音を発生させるといった手法も考えられているとのことだ。
ローマといえば、日本では美しい観光地のイメージが強い。
しかし近年、同都市は劣化と“汚らしい”状態にあるとして、イタリアでもその不潔さにおいて悪名高い都市になりつつあるという。
これに不満を抱く住民の間からは、そんなひどい状態を“ごみ捨て場”と揶揄する声まで上がっているといい、ローマは都市の美化を目指した対策を早急に行う必要性に迫られていた。
以前は身近な場所にいたハヤブサ
他方、かつてハヤブサはローマやイタリアの各都市において身近に見られる存在であったという。
ところが1970年代に入り、鳥の卵の殻を非常に薄くし壊れやすくさせてしまうという副作用を持つ殺虫剤が出回るようになると、ハヤブサの数は激減。
その後1978年にその殺虫剤の使用が禁止されたことにより、再びハヤブサは徐々に都市部の上空に姿を見せるようになったという。
ローマにおいても近年は野生のハヤブサが見られるようになっており、20組ほどの野生のつがいが生息していると考えられているとのこと。
ハヤブサ導入の次は羊?
一方でこのような都市の美化を目指した“自然に優しい”試みは、ハヤブサの導入だけではない。
ローマにおいては雑草を駆除するため、なんと羊をも導入。
導入された羊が草を食む光景は、ローマの複数の公園などで目にすることができるという。
またローマにおいてはムクドリ同様に、一般的に見られるカモメとネズミを駆逐するための対策についても検討されているとのこと。
ムクドリを駆逐するためにハヤブサを導入するというローマの画期的な試み。鳥で鳥の駆逐を行うというのは面白い発想だとは思うが、日本のムクドリ対策に応用できるのかどうかは少々疑問だ。(了)
出典:The Local Italy:Falcons and sheep sent in to help clean up Rome(11/23)