「北アイルランドでも独立を問う住民投票を!」シン・フェイン党が声明を発表
先日、スコットランドの自治政府がイギリスからの独立を問う住民投票を実施する予定と発表したが、今度は北アイルランドでもその機運が高まっている。
●シン・フェイン党の新党首が声明を発表
英紙Independentによれば、シン・フェイン党の新たなリーダーであるMichelle O’Neill氏は月曜日、北アイルランドも独立を問う住民投票を行うべきとする声明を発表したという。
彼女は声明の中で「北アイルランドはイギリスから離れ、アイルランド共和国に加わるかを問う住民投票をできるだけ早く行うべきだ」と主張。
さらに「イギリスのEU離脱は、北アイルランドの経済にとって大打撃であり、人々にとって大きな災害となります。そしてアイルランド共和国との統一は、この影響を回避する1つの方法になりうるのです」と語っている。
●イギリス残留に賛成する意見が多い
この声明は、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相が住民投票に関して会見した数時間後に発表されたという。
また北アイルランドもスコットランドと同じように、昨年の国民投票では56%の人がEU残留を支持しており、44%が離脱に投票したとされている。
しかし定期的に行われてきた世論調査では、イギリスの一部として残るべきという声は多い。
実際にIpsos MORIが昨年の9月に行った世論調査でも、アイルランド共和国との統一を支持する人は22%で、63%の人はイギリスに残留すべきという結果だったようだ。
●少数派を恐れたプロテスタント系
そもそもなぜ、北アイルランドという国が成立したのだろうか。
19世紀以降にアイルランドの独立運動が高まる中、17世紀にイングランドやスコットランドから移住した入植者の子孫であるプロテスタント系の住民は、カトリック系が多数を占める国で少数派になることを恐れ、イギリスからの独立には反対する傾向が強かったという。
特に北部の6州には多くのプロテスタント系の住民が住んでいたため、1919年の独立戦争の結果、イギリスは北部6州を北アイルランドとし、独自の議会と自治権を認めた。
さらに1921年に英愛条約でアイルランド全島がイギリスの自治領になった後も、北アイルランドはイギリスへの再編入を希望し、それ以来構成国となる。
●差別を受けてきたカトリック系
しかし北アイルランドに住むカトリック系の住民は、就職や住居、政治上の差別を受けており、1960年代にはデモも頻発したが、プロテスタント系の警察により暴力を用いて鎮圧されるなど社会不安が高まっていった。
その後、イギリスとの連合維持を主張するユニオニストと、独立を主張するナショナリストそれぞれに多くの組織が作られ、テロや攻撃が繰り返されたが、1998年4月のベルファスト合意により和平が成立。双方が北アイルランド政府に参加することとなる。
その中でカトリック系のナショナリスト、シン・フェイン党は当初からアイルランドの統一を目指しており、先週行われた選挙でも議会において27議席を獲得し、第一党のユニオニスト、民主統一党(DUP)との差が1議席にまで狭まったという。
アイルランド共和国との統一に関する住民投票については、ベルファスト合意に含まれており、その結果はイギリス政府が受け入れる約束になっているそうだ。(了)
出展元:INDEPENDENT:Sinn Fein calls for referendum on Northern Ireland leaving the UK ‘as soon as possible’(3/14)