タイの寺院から保護されたトラ、近親交配のため免疫がなく86頭が死亡か
以前、タイの寺院から保護されたトラたちの多くが、その後病気で亡くなっていることが明らかにされた。
長い間非難を浴びていた寺院
トラたちが保護された寺院とは、首都バンコクの近郊にある通称「トラ寺(Wat Pha Luang Ta Bua)」。
ここは20年前にオープンし、多くのトラと触れ合える場所として観光客からも人気があり、利益も上げていたという。
実際、この寺院では観光客が、薬を打たれたトラと自撮りができ、子供のトラにもミルクを与えることができたそうだ。
しかし寺院は、トラやその他の動物を密輸したり、または繁殖をさせたりしてきたことで、長い間非難を浴びてきたという。
トラの死は近親交配が原因か
しかし2016年に野生動物保護局の職員が寺院に入り、捜査を実施。
この結果、職員らは寺院の中で、トラの毛皮やトラから作られたエネジードリンク、皮から作られたお守り、死んで壺に入れられた数十匹のトラの子供を発見し、147頭のトラを保護したという。
やがてトラたちは動物らしい暮らしができる保護施設へ運ばれたが、その後「イヌジステンパーウイルス」に対する免疫がないことが発覚する。
「イヌジステンパーウイルス」とはヒトの麻疹(はしか)とよく似たウイルスで、犬の重要な疾患であると同時に、ネコ目にも感染し、1994年にはライオンにも広く感染していたという。
タイ国立公園野生動植物保護局のPrakit Vongsrivattanakul氏は「トラたちには、同系交配(近親交配)をさせていたために免疫システムがないのです。私たちは症状が現れてから、治療をしました」と語っているが、その後次々に死んでいったそうだ。
もっともPrakit氏は、正確に何頭のトラが死んだのかは明らかにしていない。ただ放送局「Thai PBS」によれば、寺から救出された147頭のうち、86頭がすでに死んでいるという。(了)
出典元:nzherald:86 tigers die after rescue from cruel tourist attraction: report(9/16)
出典元:FOX NEWS:86 tigers rescued from infamous temple in Thailand have died, local media report(9/15)