人工衛星を軌道上へ運ぶドローン、米企業が試験飛行用の機体を公開
ついに人工衛星を上空の軌道上へ運ぶドローンが開発され、今後試験飛行を行う見通しとなった。
米宇宙軍の衛星打ち上げを計画
そのドローンとは「RAVN-X」。アメリカのベンチャー企業「Aevum」が開発したとされている。
このドローンは小型衛星を、パイロットやロケットの発射台なしで上空の軌道に運ぶことができるよう設計されているという。
2024年にはアメリカ宇宙軍のために人工衛星の打ち上げを予定しており、12月3日にその準備に使われる試験飛行用の機体が発表された。
上空でロケットを発射、衛星を放出
「Aevum」はすでに軍と約10億ドルの軍事契約を結んでいるが、CEOのJay Skylus氏によれば、「RAVN-X」のシステムは小型衛星を素早く打ち上げ、独自の軌道に乗せることに関心のある科学者にとっても、有用だという。
「RAVN-X」は、スクールバス2台分の長さもあり、鳥とミサイルを組み合わせたような形をしている。
通常の滑走路から離陸し、大気圏の高層まで上昇した後、機体に取り付けられていたロケットを発射。ロケットはそのまま宇宙に向かって進み、やがて100kgから500kgもの人工衛星を放出する仕組みだという。
そのシステムは全て自動制御され、発射台やそれに伴う高価なインフラなども必要ない。
正確な軌道をより細かく制御できる
もっとも、このように上空までロケットを運び、小型衛星を射出するのは「RAVN-X」が初めてではない。
ノースロップ・グラマン社の「ペガサス」は、1990年代から数十回飛行しており、Virgin Orbit社の「LauncherOne」は、今年初めの最初の打ち上げの試みに失敗している。
ただし「ペガサス」や「LauncherOne」は、いずれも人が操縦しており、「RAVN-X」は完全に無人になるという。しかもこのシステムでは、研究者が打ち上げスケジュールや正確な軌道をより細かく制御できると言われている。
「Aevum」は現在、1kgあたり数千ドルのコストになるよう目指している。(了)
※下の動画で機体が現れるのは、31分27秒頃。
出典元:Science Mag:Rocket-launching drone ready to take satellites into orbit(12/3)