EUがデジタルサービス法で合意、IT企業がアルゴリズムを公開へ
ヨーロッパ連合(EU)は先月、デジタルサービス法に合意し、今後グーグルやフェイスブック、その他の巨大IT企業は、アルゴリズムの公開を余儀なくされることになりそうだ。
規制がかけられてこなかった巨大IT企業
4月23日にEUで合意された「デジタルサービス法(DSA)」とは、ネットユーザーの保護や利便性の向上を目的に、これまで規制がかけられてこなかった巨大IT企業に一定の義務を課すものだ。
そしてこの法律に基づき、今後グーグルやフェイスブック、その他の巨大IT企業は、自社のアルゴリズムを公開し、どのように機能しているかを説明しなければならなくなった。
アルゴリズムとは簡単に言えば、どの情報を優先させ、逆に表示させにくくするか、といったプログラムのことだ。
このアルゴリズムはそれぞれ会社独自のものだったため、これまで公開されず、それゆえに誰も批判できなかった。
しかしネットがもはや公共の情報収集の場になっている以上、民間企業独自のアルゴリズムによって情報が選別される状態は健全とは言えない。
そこで今回、アルゴリズムが公開されることになるのだが、それにより各社の姿勢が問われ、場合によっては批判を受ける可能性も出てきた。
子供へのターゲット広告なども禁止
また今回の「デジタルサービス法」では、児童ポルノやデマ、差別などを含む違法コンテンツの排除を義務づけ、子供を対象としたターゲット型広告や、宗教、性別、人種、政治的意見などのセンシティブなデータに基づく広告を禁止している。
さらにオンライン上で人々を欺いて企業に個人データを提供させる手口も、禁止されるという。
しかもネット上の偽情報に対応するため、大規模なオンラインプラットフォーム(フェイスブックやツイッターなど)や検索エンジン(グーグルなど)は、ロシアによるウクライナ侵攻などの危機の際に、特定の対策を講じることが求められるようになるそうだ。
世界的な売上高の 6 %の罰金
そして今回の新法が施行されれば、各企業はアルゴリズムに関連するデータを規制当局や研究者に引き渡し、必要な透明性を確保することを余儀なくされる可能性があるという。
また企業が規則に違反した場合、世界的な売上高の 6 % までの罰金が科され、違反が繰り返されると、EUでのビジネスが全面的に禁止される可能性もあると言われている。
今回のEUの厳格な新ルールは、今後IT大手企業の力を抑制しようとする、それぞれの国の基準となる可能性があるそうだ。(了)
出典元:METRO:Google and Facebook will be forced to explain their algorithms under new EU rules(4/25)