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「ワグネル」の反乱、ロシアで起きた出来事の記録

「ワグネル」の反乱、ロシアで起きた出来事の記録
Twitter/Kevin Rothrock

23日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップ、エフゲニー・プリゴジン氏が、ロシア国防省幹部への報復を宣言し、部隊をモスクワへ向かって進軍させた。

 

ロストフ州に入り、軍施設を掌握

 

24日未明、プリゴジン氏は「ワグネル」の部隊がウクライナを離れ、国境を接するロシア南部のロストフ州へ入ったと主張した。

 

彼はテレグラムにおいて「国境警備隊は我々を出迎え、戦闘員たちを抱きしめた。今、我々はロストフに入っている。もし誰かが我々の邪魔をするならば、我々はすべてを破壊するだろう。われわれは前進する、どこまでも行くのだ!」と述べたという。

 

その後、プリゴジン氏は、「ワグネル」の部隊が州都のロストフ・ナ・ドヌ市のすべての軍事施設を制圧したと主張。SNSにも市内にあるロシア軍の南部地区軍司令部に入り、軍の幹部と会話する様子が投稿された。

 

ヴォロネジ州にも進軍

 

この頃。プーチン大統領はテレビで演説。「ロシアは未来のための最も厳しい戦いを戦っている」とし、「ワグネル」の反乱は、ロシアを背後から刺すようなものだと述べたという。

 

またプーチン大統領は、ロシア軍に対して武器を取った者は処罰されると明言。ロシアを守るためにあらゆることを行い、ロシア軍には必要な命令が下されているとし、状況を安定させるために断固とした行動を取ると述べたそうだ。

 

しかしその後も、「ワグネル」の進軍は続き、戦闘員らはモスクワの南約500kmに位置するヴォロネジ州の市内にある軍事施設を掌握したという。

 

この時、ロシア空軍のヘリコプターが、「ワグネル」の車列を攻撃したとの情報が流れた。また、ヴォロネジ州の道路付近にある燃料タンクが、炎上する動画もSNSに投稿された。ただ、この火災と、「ワグネル」との反乱の関連は明らかになっていない。

 

 

プリゴジン氏は、テレグラムで「私たち全員、死ぬ準備ができている。2万5000人全員、そしてさらに2万5000人だ。我々はロシア国民のために死ぬ。我々はロシアを救うのだ」と述べていた。

 

プーチン大統領が各国の首脳と会談

 

プーチン大統領はこの頃、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と電話で会談。ロシアで起きている情勢を伝えたという。

 

またプーチン大統領はカザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領とも会談をしたそうだ。

 

カザフスタンのメディアによると、トカエフ大統領はプーチン大統領に対し、ロシアでの出来事は「内政問題」であると伝え、プーチン大統領は状況への「理解」に感謝したという。

 

モスクワでも人々が避難を開始

 

BBCロシア放送は当時、「ワグネル」の反乱軍の進撃に伴い、モスクワ中の公共施設から避難が始まったと伝えている。

 

モスクワでは、クレムリン近くのトレチャコフ美術館、プーシキン美術館、GES-2ハウス・オブ・カルチャーなどで避難が開始され、2つのスーパーでも避難が始まったという。

 

またロシア当局の、「ワグネル」に対する態度も微妙に変化。「投降すれば恩赦を与える」と申し出ていたという。

 

プーチン大統領が飛行機で首都を離れた?

 

その後、「ワグネル」はモスクワの南、約360キロに位置するリペツク州に進軍。リペツク州のIgor Artamonov知事が、これを確認した。

 

 

同州では、すでに「ワグネル」の部隊が反乱を企てているとの情報を得てから、住民に対し、自宅待機を促していたそうだ。

 

この頃になると、プーチン大統領の専用機が現地時間午後2時16分にモスクワのブヌコボ空港を離陸し、北西に向かったという報道が相次ぐ。

 

追跡サイト「FlightRadar」のデータによると、大統領専用機はモスクワから約110マイル離れた、プーチン大統領の住居があるTverエリアに到着した後、システムから消えたという。

 

 

また「ワグネル」が首都へ近づくにつれて、モスクワ発の航空券が完売したと報じられた。

 

ドイツの「シュピーゲル」誌によると、モスクワからトビリシ、アスタナ、イスタンブールへの直行便の航空券が入手不可能になったという。

 

モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は声明で、対テロ作戦が宣言され、状況は「困難」であることから、モスクワ市民は可能な限り市内への外出を控えるよう訴えた。

 

進軍を停止、引き返すよう命令

 

ところがその後、「ワグネル」は進軍を停止。プリゴジン氏は、戦闘員に対し引き返すよう命じ、ロストフ州からの撤退も指示した。

 

それから間もなく、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、プリゴジン氏がこの反乱から手を引くことを約束したと発表した。

 

ルカシェンコ大統領によれば、プーチン大統領と会談した後、「ワグネル」のトップと交渉して、停戦が決まったという。

 

またプーチン大統領は、努力して交渉してくれたことについて、ルカシェンコ大統領に感謝の言葉を述べたそうだ。

 

その後、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プリゴジン氏に対する刑事訴追が取り下げられ、彼が隣国ベラルーシに送られると発表。

 

SNSにもプリゴジン氏が、ロストフ・ナ・ドヌ市にある軍本部を車で去る様子が投稿され、人々が歓声を上げる様子が映っていた。

 

 

一方、ウクライナの通信社によると、ウクライナ軍は24日、2014年以来、親ロシア派分離主義者に占領されていたドネツク州のクラスノホリフカ市近郊の領土を解放したという。(了)

 

出典元:The Guardian:Prigozhin to leave Russia under deal brokered by Belarus after Wagner rebellion – Russia-Ukraine war(6/23)

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