トランプ大統領と韓国大統領の溝が深まる?北朝鮮政策や貿易問題が原因か
アメリカのドナルド・J・トランプ大統領と韓国の文在寅大統領との間で、大きな溝が生まれているのではないかという懸念が広がっている。
電話会談も遅く、ツイッターでも暗に非難
CNNによれば北朝鮮が今週の日曜日(9月3日)に核実験を行った後、トランプ大統領が文大統領に電話をしたのは、月曜日になってからだという。
しかし日本の多くの報道でも明らかなように、トランプ大統領はその間に日本の安倍首相と2度の電話会談を行っている。
また核実験が行われた後に、トランプ大統領はツイッターを連続して投稿。そのうちの1つには次のように述べられていた。
「私が彼らに話していたように、北朝鮮をなだめるための話し合いは機能しないだろうということを、韓国は分かりつつある。。彼ら(北朝鮮)はたった1つのことしか理解しない」
South Korea is finding, as I have told them, that their talk of appeasement with North Korea will not work, they only understand one thing!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) September 3, 2017
北朝鮮を巡る政策の違いで不満か
これは韓国の文大統領を暗に批判した内容とも考えられているが、CNNがトランプ大統領の側近に取材したところ、彼は次のように語ったという。
「トランプ大統領は、文大統領による北朝鮮への政策をソフトなスタンスだとみなし、欲求不満を募らせていたのです。実際に文大統領は、急速に高まった緊張を和らげるための試みとして、平壌(北朝鮮)との交渉を推し進めようとしていたのですから」
一方、文大統領も8月には、トランプ大統領が北朝鮮に向けて「炎と怒り」という言葉を使って発言したことを非難していたそうだ。
さらに朝鮮半島におけるどのような軍事行動も、ソウルと相談し、同意を得なければならないと述べたとされている。
自由貿易協定の見直しも検討中
しかし対話で北朝鮮問題を解決しようとしている文大統領に対し、トランプ大統領は核実験が行われる以前の8月30日に、ツイッターで「対話は答えではない」とも述べている。
The U.S. has been talking to North Korea, and paying them extortion money, for 25 years. Talking is not the answer!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) August 30, 2017
さらにトランプ大統領は選挙期間中に公約として掲げていた、「米韓自由貿易協定(FTA)の廃止」について検討していることを9月2日に公にしていたという。
このFTAとはアメリカと韓国の関係を下支えするものと言われているが、この貿易交渉と北朝鮮を巡る政策の違いにより、2人の溝が深まっていることが懸念されている、とCNNは報じている。
文大統領は英のチェンバレン元首相?
これと同じようにAFPも、トランプ大統領が韓国の文大統領の対北朝鮮融和策などを批判しているほか、FTAの破棄もちらつかせている、と伝えている。
さらにAFPは ソウルにある延世大学のジョン・ドルーリー氏の見方も紹介。それによれば、トランプ大統領は文大統領をイギリスのネビル・チェンバレン元首相のような存在になぞらえているという。
チェンバレン元首相とはナチス・ドイツに対し宥和政策を行った人物で、その思惑には諸説あるのだが、結果的にはドイツに軍事力を増大させる時間的猶予を与えたとされている。
そしてヒトラーに対しイギリスから近隣諸国への侵攻を容認されたと勘違いをさせてしまい、第2次世界大戦を誘発させたとして彼の政策は一般的には批判されてきたそうだ。
またドルーリー氏はAFPの取材に対し「トランプ氏はパートナーの韓国大統領を公然と攻撃する気になるくらい、韓国との関係を極めて軽視している。(中国や日本に比べて)韓国が序列の最下位なのは明白」だと述べている。(了)
出典元:CNN:Amid crisis, worries of rift between Trump and South Korea grow(9/4)
出典元:AFP:トランプ氏の韓国批判、同盟に亀裂も 北朝鮮の思うつぼ(9/5)