新型コロナで上演中止を決定したロンドンの老舗劇場、客への恩返しを用意
新型コロナウイルスの影響で、世界各国の演劇界が大打撃を受けている。その中で、イギリスの劇場が画期的な対応策を打ち立てた。
2週間を残して上演中止
イギリスのロンドンにあるオールド・ヴィック・シアターで上演中だった『Endgame』は、「ハリー・ポッター」シリーズで知られるダニエル・ラドクリフと名優のアラン・カミングスがダブル主演した作品だ。
人気テレビ番組でのプロモーションも行われた注目作品だ。3月28日までの上演を予定されていたが、3月15日に新型コロナウイルスの影響により上演中止に。劇場ももちろん閉鎖中だ。
オンラインで閲覧可能に
大好きな劇場やキャストのためにお金を使いたい-そんなファン心理は世界共通だ。上演が中止された後にもチケットの払い戻しをせずにチケット代を寄付した客に向けて、オールド・ヴィック・シアターはこんな恩返しを用意した。
それは、舞台作品をオンラインで閲覧できるDigital Theatreで、作品を2週間無料で見られるというもの。さらにはキャストからのメッセージビデオや1年有効の優先予約権が特典としてついてくる。
Digital Theatreを利用するには、ひと月9.99ポンド(約1330円)または1本7.99ユーロ(約1060円)からの利用料金が必要だ。
Digital TheatreのCEOであるNeelay Patel氏は、「国中の劇場が閉鎖されるような危機的な状況において、我々はできるだけ劇場を支えたいと思っています。我々の技術をもってオールド・ヴィック・シアターを助けられて光栄です」と語っている。
年間400万ポンドの維持費がかかる
オールド・ヴィック・シアターは、公共の支援を一切受けておらず、上演費用で維持費を賄っている劇場だ。1000人もの観客を収容する歴史ある劇場は、維持費だけで年間400万ポンド(約5億3177万円)もかかるという。
現在は寄付を募っている苦しい状況の中で、今回の恩返しを決行した。現在は一時的に閉鎖されているが、復活の意志は固い。
安心してエンターテイメントを楽しめる日々が、早急に戻ってくることを祈るばかりだ。(了)
出典元:Whats On Stage「Digital Theatre to offer Old Vic’s Endgame ticketholders a recording of the show and two weeks’ free access」(3/31)
出典元:DIGITAL THEATRE
出典元:The Old Vic Theatre