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頭も尻尾もない魚の肉が誕生か?米企業が細胞から作られるシーフードを開発中

頭も尻尾もない魚の肉が誕生か?米企業が細胞から作られるシーフードを開発中
123RF

アメリカの企業が細胞から作られるシーフードの開発を行っており、市場で売り出すことを計画しているとして、注目が集まっている。

 

魚の筋肉細胞を育てていく

 

その企業とは、カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置く「BlueNalu」だ。

 

この会社は海から獲られた魚ではなく、研究室で細胞から育てられたシーフードを開発しているという。

 

会社のオーナーであるLou Cooperhouse氏と研究チームは、マジェランアイナメ(メロ)やオレンジラフィー(ヒウチウダイ科)、マヒマヒ(シイラ)などの1匹の魚から筋肉細胞を針生検でとれる量だけ抽出。それらの細胞に、ビタミンやアミノ酸、糖分などの栄養素を独自にブレンドした液体を与えて、慎重に培養しているそうだ。

 

そして最終的には、カットされたヒレ肉のように広いシート状になるまで筋肉組織を育て、その後切り身にされてさまざまなタイプの容器に詰められ、新鮮なまたは冷凍の魚として販売されることになるとか。

 

つまり「BlueNalu」の魚は、漁で獲られたり養殖されたりしたものではなく、頭も尻尾も骨も血液さえもないシーフードになると考えられている。

 

魚に関しては世界で6社が研究中

 

非営利団体の「Good Food Institute」によれば、現在世界では約20社が細胞から作られた動物の肉を育てる研究を進めているという。

 

しかしその多くは牛や鶏、羊などの肉を目指しており、細胞から作られたシーフードに着目しているのは僅かに6社しかないそうだ。

 

その6社のうち3社がカリフォルニアを拠点にしており、そのうちの1社「Finless Foods」は本マグロの肉に関心を寄せており、「Wild Type」では細胞由来のサーモンを作ろうとしているとか。

 

一方、「BlueNalu」では簡単に養殖できない、さまざまなタイプの魚の肉を視野に入れているという。

 

しかしいずれも実際の商品として市場に出回るようになるまでには、5年から10年はかかると考えられている。

 

汚染物質を心配する必要もなし

 

「BlueNalu」では、魚からたった一度しか細胞を抽出する必要がないため、理論的には魚を海に返すことになるという。

 

そして細胞培養によく使われるウシ胎仔血清に頼っていないため、作られた魚は、植物由来のタンパク質を摂取しようとする菜食主義者などにアピールできる可能性もあると言われている。

 

また海で捕獲された魚からは水銀や毒素、病原体、寄生虫、マイクロプラスチックなどが検出されることがあるが、「BlueNalu」のシーフードではそのような汚染物質を心配する必要はないそうだ。

 

しかも「BlueNalu」では遺伝子を改変する方法をとっていないため、将来的に食品医薬品局から認可されることに自信をのぞかせている。同社のChris Somogyi氏は、次のように述べている。

 

「私たちはCRISPR(遺伝子編集)の技術を使いません。新しい分子を食事に取り入れるのではなく、自然に存在しない新たな生物を導入するのでもありません。そのため認可は製品が安全かクリーンか、または製造工程が信頼でき、しっかりしているかが問われることになるでしょう」(了)

 

 

出典元:npr:Seafood Without The Sea: Will Lab-Grown Fish Hook Consumers?(5/5)

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