残り物のパンからビールを作り出すスタートアップ企業がすごい
残り物のパンからビールを醸造しているスタートアップ企業の取り組みが、注目を浴びている。
パンからの醸造でも通常のビールと変わらぬ味
パンからビールを醸造しているとして注目されているのは、英国発のスタートアップ企業「Toast Ale」。
同社は2015年、パン屋で売れ残ったパンの処分を助けるため、この取り組みを始めたという。
Toast Aleのニューヨーク支社で勤務するJoanna Ehrenreich氏は、同社は家族経営のオーガニック系パン屋と提携していると説明。
残ったパンはそこから譲ってもらっているとし、同社の醸造方法は3分の1ほどの過程においてパンを利用していること以外、従来のビールとほとんど変わらないとする。
また完成したビールの味についても、通常のものとほとんど変わらないとのことだ。
約3分の1の食品が廃棄されている米国
「我々の時代において、食品廃棄は最も重要な環境問題の一つだ」と述べるEhrenreich氏。
「我々は食品廃棄にあまり関心を持たない人々の心を掴みたい。私はその気概に満ちている」
米国の環境保護庁によると同国では生産された食料のうち約3分の1もの量が廃棄されており、Ehrenreich氏はパンに関しても同量が廃棄されていると指摘。
廃棄された食品は埋立地へと運ばれ、そこで腐敗してメタンガスを発生させることにより、地球温暖化の原因にもなっているという。
ハーバード・ロー・スクールの「Food Law and Policy Clinic」で主任を務めるEmily Broad Leib氏は「パンのような穀物を原料とする食品は、米国と英国で最も廃棄されている食品の一つだ」とする。
「したがって、残ったパンを有効活用するビジネスモデルは、廃棄される食品の量を減らす大きな潜在力を秘める」
さらにニューヨークの非営利団体「自然資源保護協議会」のDarby Hoover氏もToast Aleの取り組みは食品の再利用における好例だとした上で、「廃棄された食品から、価値ある生産物を作る企業の活動を見るのは良いことだ」と述べる。
また米国ではこれまでであれば捨てられていたような食品を再利用する試みは、スーパーマーケットからレストランまで、徐々に浸透しつつあるという。
自宅でもパンからビールを醸造できる?
Toast Aleのビールはニューヨークとロングアイランドで販売されている一方、オンラインでも購入可能だ。
同社の売り上げの一部は食品廃棄の減少を目指す慈善団体や組織などに寄付されるという。
一方、Toast Aleのホームページでは家庭で残り物のパンからビールを醸造する方法をも紹介。
これについてEhrenreich氏は「我々は世界中にこのムーヴメントを起こしていきたい」としている。
日々の食料すら十分に得ることができていない人がいる一方、先進国において大量の食品廃棄が行われていることは嘆かわしいことだ。
Toast Aleのような取り組みを行う企業が次々と世に現れ、人々の意識が少しずつでも変わっていくことを期待したい。(了)
出典元:NBCNews.com:This startup brews beer with surplus bread. Here’s why.(2/21)
出典元:WPIX 11 New York:Drink beer to help save the planet? It’s happening in NYC(2/22)