世界初!“空気”によって醸造されるビールがイタリアで登場
イタリアで世界初となる“空気”によって醸造されるビールが登場し、注目を浴びている。
ビールの水を空気から抽出?
“空気”によって醸造する世界初のビールを考案したのは、イタリア中部に位置する町、グアルド・タディーノの地ビール醸造所「Birra Flea」。
同醸造所が手掛ける“空気”を利用したクラフトビールは、その名も“Sans Papiers – Biere de l’air”というもの。
Birra FleaのスポークスマンAlessandro Tozzi氏は、同社のビールについて「ビールは90%が水からできている。我々の場合はその水を空気から抽出するということだ」としている。
一方、圧縮された空気はビールの製造過程においてはこれまでにも様々な場面で利用されてきている。
しかしその多くはボトル詰めと遠心分離機を用いた浄化、さらには発酵の過程において培養酵母菌に十分な酸素を行き渡らせる用途で用いられてきたものだった。
そのため同醸造所はビールの主要成分である水を空気から抽出するビールは世界初の試みとなる、としている。
またBirra Fleaでは、このような方法で9種類ものビールを製造。これらはもうすぐ販売開始となるとのことだ。
具体的な抽出方法とは?
それでは具体的には、どのようにして空気から水を抽出させるというのだろうか。
Tozzi氏はこの方法について、“熱い空気を水へと液化させる機械”を用いると説明。この機械によっては、一日に1200リットルもの水を空気から生成することが可能だという。
さらに生成された水は、その後ビールを醸造するため麦芽やホップ、酵母と混ぜ合わせられるとのことだ。
ちなみにこの際使用される大麦について、Birra Fleaは“中世の時代以来最も良い大麦”であると主張している。
空気からの水を利用する理由とは
しかし気になるのは、なぜビールの製造にあえて空気から抽出した水を使用するのかということだ。
これについてTozzi氏は「(ビール醸造のための)全ての過程が持続可能な方法で行われている」とする。
Birra Fleaは2013年より、環境保護と持続可能性に配慮した方針を採用。
Tozzi氏によると醸造所の運営は屋根に取り付けられた太陽光パネルによって賄われており、使用される紙からプラスチック、ガラスはリサイクルされたものが用いられているとのことだ。
Birra Fleaによるビールはイタリア全土のみならず、既に欧州域内や米国、さらにはアジア圏にまで輸出が行われているという。
日本でも空気から抽出された水を用いたビールが飲める日は、そう遠くないのかもしれない。(了)
出典:The Local Italy:Italian brewery launches first ever beer made of air(9/19)