スマートウォッチが殺人事件を解決?正確な死亡時刻から容疑者の矛盾を見抜く
オーストラリア南部にあるアデレードという街で起きた殺人事件の裁判で、殺された被害者が身につけていたスマートウォッチのデータから、正確な死亡時刻が明らかとなった。
2016年に事件発生、容疑者が今月逮捕
その殺人事件が起きたのは2016年9月。当時アデレードのValley Viewという地区に住んでいたMyrna Nilssonさん(57)が、洗濯場で倒れているのが発見されたという。
隣人は午後10時10分頃に、Myrnaさんの家から義理の娘、Caroline Dela Rose Nilsson容疑者(26)が取り乱して出てくるのを目撃、その後、警察に通報した。
Caroline容疑者はMyrnaさんの死に関してずっと疑いをかけられていたが、今月になってやっと警察に逮捕され、起訴されたそうだ。
トラックに乗った男達に襲われたと主張
Caroline被告は保釈を求める裁判所でのヒアリングにおいて、Myrnaさんが小型トラックに乗った男たちにつけられており、家の外で20分ほど口論になったと主張。
さらに自分はドアが閉められたキッチンにいたため、Myrnaさんが襲われた瞬間の物音は聞いておらず、その後すぐに部屋に侵入してきた男たちに縛られたと説明したそうだ。
しかし検察官のCarmen Matteo氏は、Myrnaさんが身につけていたアップルの「iWatch」というスマートウォッチを分析。その結果、Caroline被告が義理の母親の殺害を隠すため、男たちによる襲撃を作り上げたと主張した。
Apple Watch data helped police make arrest in Adelaide murder case | Daily Mail Online https://t.co/6pTGGVJKH4
— GlobSnark (@GlobSnark) April 3, 2018
心拍数や行動も記録できるデバイス
検察官によれば、分析したスマートウォッチのようなタイプには、センサーがついており、身に着けた人の動きを追跡し、日々の行動や心拍数なども記録することができるという。
また分析したデータは、Myrnaさんが午後6時30分に自宅へ戻り、その後待ち伏せされ、襲われた状況と一致したそうだ。
さらに心拍数から彼女が襲撃によるショックを受け、意識を失ったことも明らかとなっており、それらの分析の結果、6時38分に襲われ、6時45分には死んだことが判明する。
これを踏まえ検察官は「もしこの証拠が認められれば、洗濯場の外で故人と男たちが20分間も口論を行っていたとするCaroline被告の説明と矛盾することになります」と語った。
他にも被告の主張と食い違う証言も
しかも事件が起きたとされる時刻に自宅へ戻った近所の住民は、Myrnaさんの家の前に小型トラックが止まっていたのは見てないと証言。
またDNAの検査でも、自宅に男たちが押し入ったとするCaroline被告の主張は裏付けられなかったそうだ。その上で検察官は次のように主張している。
「Caroline被告が家から出てきたのは午後10時。故人への攻撃から3時間以上もたっています。このことは現場をつくろうため、つまり血のついた衣服を捨て、部屋を綺麗にするための時間だったことを表しています。被告は警察が、このようなデバイスから死亡時刻やその他の情報を正確に認識できることを予想していなかったのです」
今回の検察官の主張は、被告の保釈を巡るヒアリングの中で行われたとされ、裁判は6月に開かれ、そこで判決が下される予定だという。(了)
出典元:ABC net:Smartwatch data helped police make arrest in Adelaide murder case, court hears(3/29)
出典元:MailOnline:Apple Watch murder breakthrough: Heart rate recorded by smart device worn by woman, 57, ‘bashed to death by her daughter-in-law reveals she was the victim of an ambush attack’(3/29)