ネットで配信された黒人射殺事件、警察が公表した新たな映像がショッキング
昨年、警察官に射殺された男性の映像がネットに流されて、全米に衝撃を与えた事件。
その裁判で、巡査だった被告に無罪が言い渡され、警察当局は当時の状況を撮影したパトカーのダッシュカムの映像を公開した。
●「書類を取り出そうとしていただけ」
事件が起きたのは2016年7月6日、ミネソタ州のFalcon Heightsという地区とされている。それは当時車を運転していた黒人のPhilando Castileさん(32)が、警察から路上で尋問を受けた際、突然射殺されるという痛ましいものだった。
Castileさんは学校のカフェテリアに勤務しており、事件の時に運転していた車内には交際中の女性、Diamond Reynoldsさんと彼女の4歳になる娘さんが一緒に乗っていたという。
そしてReynoldsさんは、Castileさんが射殺された直後に自らの携帯で車内を撮影し、彼が書類や財布を取り出そうとしただけなのに、警察官が突然発砲したとフェイスブックのライブ映像の中で訴え続けた。
(動画はショッキングな内容が含まれているため、閲覧にはご注意いただきたい)
しかし先日開かれた裁判において、殺人や過失致死罪に問われていた巡査のJeronimo Yanez被告は無罪となる。その4日後に警察当局は、当時の様子を撮影したパトカーのダッシュカム映像を公開した。
●銃の所持を自己申告するも撃たれる
動画では、パトカーがCastileさんの運転する白い車の後を追う場面から始まっている。やがて警察の指示に従い、彼は車を道路の右側に寄せて停車。
その後、Yanez巡査とパートナーの警官がパトカーから降りて、Castileさんの車へと近づいていく。
Yanez巡査は運転席に近寄り、Castileさんに車のテールランプが消えていると指摘。さらに数日前に起きた強盗事件の犯人の容貌と一致するかチェックするため、Castileさんに免許証や保険証などの提示を求めた。
書類を提出した後、CastileさんはYanez巡査に対して「巡査、私は銃を所持していることを伝えなければなりません」と自ら申告したという。
Yanez巡査は「OK、ではそれには触れないように」と告げ、それに対しCastileさんが「いや、私は別に…」と答えた途端、映像には巡査が「それを引き抜くな!引き抜くな!」と声を荒げる様子が映っている。
車内にいたReynoldsさんは「彼は引き抜こうとしていない!」と叫ぶが、Yanez巡査は拳銃を素早く抜くと、7発をCastileさんに発射。その瞬間、車内にはReynoldsさんの悲鳴が響き渡った。
それからしばらくしてReynoldsさんは自らの携帯で車内の様子を撮影し、フェイスブックにライブ配信して、事件の状況を説明し続けた。
その後現場には他の警察官も駆けつけ、Castileさんを車内から運び、蘇生処置が試みられたが、残念ながら死亡してしまったという。
●判決に遺族や支援者が怒りの声
今回の裁判により警察は、無罪を言い渡されたYanez被告が今後、警察での仕事に復帰しない予定だと声明で発表。
しかし被害者遺族や支援してきた人々は、判決を不服として州都セントポールにある裁判所の前で怒りの声を上げたという。
またCastileさんの母親、Valerieさんも声明で「私の息子はこの街を愛していた。しかしこの街は私の息子を殺し、殺人者を逃がした」と述べている。(了)
(下の映像もショッキングな内容が含まれているため、閲覧にはご注意いただきたい)
出展元:NBC News:Authorities Release Police Dashcam Video of Philando Castile Killing(6/20)
参考:NBC News:Philando Castile Shooting in Falcon Heights, Minnesota, Sparks Protests(2016/7/7)