ランサムウェア「WannaCry」の拡大を阻止したヒーローが、米の空港で逮捕される
「WannaCry」と呼ばれるランサムウェア(身代金型ウィルス)の拡大を阻止したとされる、サイバーセキュリティのエンジニアが、アメリカで逮捕された。
ハッカーイベントに出席した後、空港で逮捕
そのエンジニアとはイギリス人のMarcus Hutchins容疑者(22)。
同じサイバーセキュリティ業界で働く友人によれば、同容疑者はアメリカで開催された「DEFCON」と呼ばれるハッキング・イベントに出席した後、先週水曜日(8月2日)の午後にラスベガスのマッカラン国際空港で逮捕されたという。
同じくイベントに参加していた友人は、取材に対して次のように語っている。
「彼はフライトをチェックし、その時ヴァージン・アトランティック航空のハイクラス用のラウンジにいたと思います。しかしその後、彼は(警官に)付き添われて、空港から連れて行かれました。そして飛行機に乗ることはありませんでした」
容疑は銀行へのマルウェアを作ったこと
Hutchins容疑者はFBIに拘束されたとみられているが、アメリカの司法省は彼の逮捕容疑が「オンライン銀行のログイン情報や財政データを盗むためのマルウェアを作り上げ、販売したこと」だと声明を発表したという。
また検察官は事情聴取の後、彼が2014年から2015年にかけて金融機関を狙ったトロイの木馬「Kronos」というマルウェアのコードを作った本人で、その後販売したことを認めたとしている。
さらにソフトウェアは2015年の6月に電子マネーによって2000ドル(約22万円)で販売され、Hutchins容疑者が共犯者の男に対し、分け前のお金を受け取っていないと不満を述べたこともチャット・ログに残っていたそうだ。
しかし一方、弁護士はHutchins容疑者がマルウェアの作者である事実を否定。人々に害を及ぼそうとしていないことから、2014年から2015年7月までの容疑については全て無罪を主張する予定だとか。
「キル・スイッチ」を発見し拡大を阻止
ランサムウェアの「WannaCry」は今年の5月に拡大し、最終的に150カ国以上、約30万台のコンピューターに影響を及ぼしたと見られている。
自動車メーカーやお店、学校などが影響を受け、特にイギリスではNHS(国民保健サービス)のコンピューターにも侵入され、病院の機能が麻痺し、大混乱に陥ったそうだ。
Hutchins容疑者は、そのマルウェアの「キル・スイッチ」と呼べるものを発見。ウィルスが拡大するスピードを弱めたことで、当時は世界中から注目を浴びた。(了)
出典元:METRO:Hero computer expert who stopped cyber attack that hit the NHS is arrested(8/3)
出展元:METRO:NHS cyber attack hero ‘admits creating code’ which harvests bank details(8/5)