Switch news

知っておきたい世界のニュース

「モヘンジョダロ」の荒廃が進み、ついに考古学者らが遺跡の埋め戻しを検討

「モヘンジョダロ」の荒廃が進み、ついに考古学者らが遺跡の埋め戻しを検討
World66

インダス文明最大級の都市遺跡とされる「モヘンジョダロ」。その荒廃に歯止めがかからないとして、現在科学者の間で、遺跡をもう一度埋め戻すことが検討されているという。

下水システムも備えた古代都市

 

「モヘンジョダロ」とは現在のパキスタン、シンド州にある約5000年前に存在した古代都市のこと。

 

その都市は紀元前2500年頃に栄えたハラッパ文明の一部とされており、1920年代に発掘が始められて以来、青銅器時代の街の驚くべき姿が明らかにされた。

 

実際「モヘンジョダロ」では道路は碁盤の目のように直角に交差して張り巡らされ、トイレで流される排水も含めて、当時としては洗練された下水システムを完備していたという。

 

都市には4万人が住んでいたと考えられているが、紀元前1900年頃に文明は崩壊。アーリア人の侵略や干ばつなど大規模な気候変動が原因と考えられてきたが、明確な理由は明らかにされていない。

Googlemap Mohenjo-daro, Moenjodaro, Pakistan

塩の害や高温によるストレスも要因

 

そんな人類の宝とも言える貴重な遺跡が、実は以前からさまざまな要因で保存が危ぶまれてきたという。

 

実際、かなり前から地下水面の上昇による塩害の影響があり、最近では真夏に46℃にも達する気温によるストレスにも悩まされてきたそうだ。

 

また最近、パキスタンではタリバンなどのイスラム過激派が台頭しており、以前アフガニスタンでバーミヤンの仏像が破壊されたような事態に陥ることも懸念されているとか。

荒廃の一番の原因は観光客

 

しかし実は、最も遺跡に深刻な影響を与えているのは、観光客だとされている。実際に「モヘンジョダロ」には毎年世界中から多くの観光客が集まり、敷地内に群がる光景がみられるという。

 

さらに2014年2月のフェスティバルでは、数百人の作業員や電気技師がテントやステージ、ライトなどを設置するため遺跡によじ登り、非常に脆い遺物にクギなどをハンマーで打ち込む事態も発生した。

 

このように現在、遺跡の荒廃が進んでいるため、考古学者らはさらなる発掘調査を断念すべきだと考えているそうだ。

 

そしてより良い遺跡の保存方法が見つかるまで、もう一度遺跡を埋め戻すことを検討しているという。実際、学者の一部は埋めることによって、良い保存状態が維持できるとしている。(了)

 

出展元:INDEPENDENT:Scientists decide to bury 5,000-year-old lost city in Pakistan(5/18)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top