ロシアで自然界の986倍もの放射性物質を検出、ウラル地方の核関連施設で事故か
ロシア当局は先日、核関連施設などから9月に高濃度の放射性物質が大気中に放出されたことを明らかにした。
この発表は、フランス放射線防護原子力研究所(IRSN)によって発見された現象を認める形で行われたという。
仏の研究所が突き止めるも露は否定
IRSNは今月初めに、放射性物質を含んだ雲がヨーロッパの上空に到達したことを検知し、報告していた。
この発表を受けたロシア当局は当初、この雲を発生させた可能性のある施設での事故を否定。
さらにロシア国営の原子力企業「ロスアトム」も、施設周辺にある放射性物質の数値も正常の範囲内で、自然界で発生する放射能レベルにとどまっていると発表していたそうだ。
放射能レベルが自然界の986倍
しかし先週の月曜日、ロシアの気象サービス会社「Rosgidromet」は、ウラル地方南部チェリャビンスク州のアルガヤシュやノヴォゴルニ付近のモニタリングポストにおけるエアロゾルの調査において、9月25日から10月1日の間に放射性同位元素「ルテニウム106」が含まれていたと報告。
さらにそれらの物質を含んだ雲が、Tatarstanやロシア南部からイタリアへと広がり、9月29日にはヨーロッパへ移動し、その後全域にまで拡散していったとしている。
もっとも「Rosgidromet」は、これらの放射性物質が、どこで発生したのかは特定していない。ただしMayakの核関連施設から約32km離れたカザフスタンとの国境付近の村、アルガヤシュでは放射能のレベルが自然界の986倍にも達していたそうだ。
1957年にも爆発事故を起こした施設
そもそも「ルテニウム106」は原子炉内で核分裂時に発生する物質で、自然界には存在しない。
またMayakにある核施設は1957年に爆発事故を起こしており、当時は少なくとも27万2000人が危険なレベルの放射性物質にさらされた可能性があるとされている。
そのためMayakにある施設は現在、核燃料の再処理施設として稼動しているとか。
フランスで事故が起きていたら住民避難
IRSNは今回の事故はボルガ川からウラル山の間で起きたとしており、ヨーロッパに達した核物質は人々の脅威になるものではないとしている。
しかし、もしフランスで事故が起きていたら、施設がある現場や周辺エリアの住人を、当局が避難させていた可能性があるという。
さらにIRSNは、今回の飛散した核物質には、他の放射性元素も含まれていたことから、原子炉内から漏れたのではなく、核燃料サイクルに関連した施設から放出された可能性があるとしている。(了)
出展元:INDEPENDENT:Russian radioactivity recorded 986 times higher than usual as toxic cloud sparks nuclear accident rumours(11/21)