新型コロナウイルスの感染者はいないのに…5カ国に拒否されたクルーズ船をカンボジアが受け入れ
コロナウイルス感染者がいる恐れがあるとして入港を拒否され、2週間近く海をさまよっていたクルーズ船を、カンボジアの港が受け入れた。
報じられていることとは違い、感染者なし
アメリカのクルーズ船「ウエステルダム」はこれまで、タイ、グアム(アメリカ領)、日本、台湾、フィリピンの5カ国から入港を拒否されていた。
理由はコロナウイルスなのだが、クルーズ船を所有するホーランド・アメリカラインの広報が海外メディアに話したところによると、「報じられていることとは違い、1455名の乗客と802名のクルーの中にコロナウイルス感染者は見つかっていない」とのこと。
「ウエステルダム」は1月16日に、シンガポールから30日間のクルーズに出発し、タイ、カンボジア、ベトナム、香港に寄港した。当時香港では50人のコロナウイルス感染者が確認されていたためか、次の寄港地フィリピンで入港を拒否された。
フィリピンの次は上海(中国)に行く予定だったが、船は目的地を横浜に変更。だが安倍首相が入港を認めなかったため、グアム(アメリカ領)に向かおうとしたが、そこからも拒否された。
その後台湾にも入港できなかった船はタイまで戻り、レムチャバン港への入港が1度は決まった。だが、最終的にタイ保健省が認めなかった。
現在「ウエステルダム」は、カンボジア・シアヌークビルの港に停泊中。検疫が行われており、乗客が下船できるのは数日後になるとのこと。カンボジア保健省の発表によれば、これまで検査した20名は全員が陰性だそう。
海外メディアが取材した乗客の一人、Steve Muthさんは、こんな感想を漏らしている。
どの港からも、「誰も受け入れない人たちを、どうしてうちが受け入れなきゃいけない?」と言われているような気がしましたよ。
親中派のフン・セン首相
カンボジアのフン・セン首相は親中派として知られており、今回の「ウエステルダム」受け入れも、中国への配慮ではないかと海外メディアは見ているようだ。
同首相は、他のアジアの国が中国への直行航空便を休止する中、中国との協力関係を乱すとして運行を続けさせている。
また、これまでコロナウイルスを大きな問題と見ておらず、政府職員や報道関係者がマスクを着用するのを非難することもあったと報じられている。
クルーズ船「ウエステルダム」には、5人の日本人も乗船している。(了)
出典元:USA Today:Relief, frustration, skepticism and medical needs: Life on Holland America cruise ship stuck in limbo(2/12)
出典元:USA Today:‘It is taking time’: Holland America cruisers wait to get off docked ship in Cambodia after being in limbo(2/13)
出典元:Metro:Cambodia to take cruise ship rejected by five countries over coronavirus fears(2/12)