中国のロケットが制御不能、大気圏突入後、破片が地球のどこに落ちるか不明
先日、中国が宇宙ステーションのためのモジュールをロケットで打ち上げたが、そのロケットが制御不能になり、地球のどこかに落下にする可能性が指摘されている。
制御不能になり地球を周回
中国の宇宙当局は4月28日に、宇宙ステーションのモジュールを乗せたロケット「長征5B」を打ち上げた。
そのロケットの重さは約21トン。打ち上げ自体は成功したようだが、ロケットのコアステージ(一段目)部分は予定されていた海に落下せず、制御不能のまま地球の周りを回り始めたという。
そしてこのロケットが地球に落下する可能性があるが、燃え尽きなかった場合、破片が地球のどこに落ちるのか、定かではないそうだ。
中国の宇宙開発を取材している『SpaceNews』のジャーナリスト、Andrew Jones氏によると、ロケット本体は今後数日のうちに地球に落下する可能性が高いという。
1990年以降は例がない
地球を周回する物体を追跡している天文学者のJonathan McDowell氏は、Jones氏に対し、次のように述べている。
「現在の基準では、制御されずに再突入させることは容認できないと思います。1990年以降、10トン以上の物体が意図的に軌道上に残され、制御されずに再突入したことはありません」
Jones氏によると、ロケットステージの大きさは、長さが約100フィート(約30m)、幅が約16フィート(約4.9m)もあり、軌道を外れて落下した場合、地球の大気中で燃え尽きる可能性があるが、大きな破片の塊が残る可能性もあるという。
地球の大部分は海であるため、落下したロケットの破片は海に着水する可能性が高いが、人の住んでいる地域を脅かす可能性もあるそうだ。
ロケット本体の地球周回軌道は、「ニューヨーク、マドリッド、北京よりも少し北側、チリ南部、ニュージーランドのウェリントンまで南下する」とJones氏は報告している。この範囲内であれば、どこでも地球に落下する可能性があるという。
以前も制御不能になり落下していた
中国は過去に一度、2020年5月に長征5Bを打ち上げ、宇宙船の試作品を軌道に乗せてテストしたことがあるという。
そのロケットのコアステージも、打ち上げから6日後に制御不能の状態で地球に落下した。
この時、米宇宙軍の第18宇宙管制隊は、大西洋上空で地球の大気圏に再突入したと発表したが、現地の報道ではロケットの断片がコートジボワールに落下したとされている。
当時、NASAの長官だったJim Bridenstine氏は、この事件について「本当に危険なことだ」と中国を非難していた。ロケットステージは、地球の重力に屈する直前にロサンゼルスとニューヨークの上空を通過していたという。
中国は、2022年末までに11回の打ち上げで新しい宇宙ステーションを建設する予定。中国の宇宙当局が、今後10回の打ち上げで発生するロケット本体をどのように処分する予定なのかは、まだ明らかになっていない。
中国が建設中の宇宙ステーションの初期プロトタイプも、2018年に制御不能となり地球に落下、無人の南太平洋上に着水したという。(了)
出典元:Business Insider:A huge rocket from China’s space-station launch could fall back to Earth totally uncontrolled(5/1)