「頭のないモンスター」と呼ばれる珍しい生物、南極付近の深海で撮影に成功
これまで1度しか撮影されたことのない、珍しい海洋生物が南極付近で撮影された。
「ヘッドレス・チキン・モンスター」
この撮影を行ったのは、オーストラリア南極観測局(Australian Antarctic Division)の研究者とされている。
彼らは最新の水中装置を使い、南極大陸の東側に広がる南氷洋で調査を行ったという。
この結果、「ヘッドレス・チキン・モンスター」とも呼ばれるナマコの一種、「ユメナマコ(Enypniastes eximia)」の撮影に成功した。
野生の「ユメナマコ」はかつて一度、メキシコ湾の深海2500m付近で撮影されたことがあるだけで、その姿を見ることは非常に珍しいそうだ。
延縄漁法を利用した撮影システム
「Enypniastes eximia」は大きさが11cmから15cmほど。触手や水かき状のものを使って泳ぎ、捕食者を避けるため、または新たなエサ場を求めて移動できるという。
オーストラリア南極観測局のプログラムリーダーであるDirk Welsford博士は「カメラから得られたいくつかの映像は、息を呑むようなものです。その中には世界のある場所では決して見られない種も含まれています」と語っている。
今回、研究者らは海中の情報を得るために、延縄漁法を利用したカメラシステムを構築し、使用したそうだ。
これはカメラや電気系統を保護するカバーが延縄に取り付けられるようデザインされ、長期間水圧のかかった深海でも調査をすることが出来たとか。
またこれにより、今回の撮影された生き物が耐えられる海底のエリアや、影響を受けやすく調査を避けるべきエリアにおいても、重要な情報を得ることができたとしている。
Welsford博士は「南氷洋は信じられないほど豊かで、バラエティに富んだ海洋生物の住処なのです。それらの採取は将来の世代のためにも、注意深く行わねばならないのです」と語っている。(了)
出典元:Australian Antarctic Division:Underwater cameras light the way for Southern Ocean conservation(10/21)
出典元:INDEPENDENT:‘Headless chicken monster’ filmed in Southern Ocean for first time(10/21)