「ゴーストシャーク」と呼ばれる深海に住むサメの貴重な映像が撮影される
深海に住む非常に珍しいサメの映像が公開され、話題となっている。
2009年に他の調査の際に偶然目撃
そのサメとはギンザメの仲間。死んだような眼とグロテスクな顔立ちから、「ゴーストシャーク」または「キメラ」とも呼ばれているという。
これを撮影したのは、アメリカのカリフォルニア州にあるモントレー湾水族館研究所のLonny Lundsten氏ら。
彼らは2009年、ハワイの周辺やカリフォルニア沖で深海探査のため、無人潜水機を遠隔操作している際にこのサメに遭遇し、撮影したとされている。
ただしその際、潜水機を操作していたのは地質学者で、彼らの目的はサメを探すことではなかったそうだ。
頭に生殖器官が備わっている
ギンザメとは恐竜が栄えた時代より以前から深海に生息し、約3億年前にサメやエイの仲間から分岐したと考えられているという。
深さ約2400mに住み、頭部にある受容器で整体が発する電気信号を感知し、深海の暗闇でも獲物を捕らえることが可能だとされている。
ただし他のサメのように鋭い歯はない。その代わり石灰化した歯板で、海底に潜む小さな生き物を捕らえ、噛み潰して食べるそうだ。
また最大の特徴は頭部に生殖器官が備わっていること。ただしなぜ頭部にあるのかは、未だに謎に包まれている。
北半球で目撃されるのは初めてか
動画にその姿が収められたのは初めてとされ、映像の分析から青みがかった体と尖った鼻先を持つ「ポインティ・ノーズ・ブルー・キメラ(学名:Hydrolagus trolli)」であることが分かったという。
このギンザメは2002年にニューカレドニアの沖合、610mから2000mの深さの地点で発見され、その後、アラスカのアーティストRay Troll氏に因んで命名されたそうだ。
そしてこれまで主にオーストラリアやニューカレドニア、ニュージーランドの周辺で目撃されてきたが、今回のように北半球で見つかったのは初めてだという意見もある。
今後もさらに調査が進み、新たな映像が捉えられるなどして、ギンザメの生態に関する謎が解明されることを期待したい。
出展元:Monterey Bay Aquarium Research Institute:The pointy-nosed blue chimaera really gets around(11/4)