南極から切り離された巨大氷山、南大西洋の島へ接近中
南極から切り離された巨大な氷山が、南大西洋に浮かぶ島に向かっているとして、警戒が呼びかけられている。
島の野生動物にも影響を及ぼす可能性
その氷山とは「A-68a」。これは2017年に、南極半島にある「Larsen C」と呼ばれる棚氷から切り離されたという。
その後、「氷山通り」と呼ばれるエリアを通り、北へ1400kmも移動。今では南大西洋に浮かぶイギリス領の「South Georgia島」から500km離れた地点にいるそうだ。
現在、この氷山は長さは150km、幅が48km。この巨大さのため、もし「South Georgia島」に接近した場合、そこに生息している野生生物や島の経済にも影響を及ぼす可能性があると言われている。
A68a iceberg heads towards #SouthGeorgia – The iceberg is the size of the UK county of Somerset and if it becomes grounded near the island it could cause disruption to local wildlife that forage in the ocean: https://t.co/xMDwHVaczS
📷 Copernicus Sentinel 3 Mosaic/Polar View pic.twitter.com/xX5ud1Xj4m
— Antarctic Survey (@BAS_News) November 4, 2020
正確な進路の予測は難しい
イギリス南極観測局のGeraint Tarling教授は、次のように語っている。
「氷山が接近することは、陸上で生活している捕食者がどこでエサを採るかという点において、大きな影響を及ぼします。(例えば)子育て中のペンギンやアザラシについて言えば、彼らにとって重要なこの時期は、エサを採るために移動しなければならない距離が、本当に重要です。もし彼らが大きく迂回しなければならないとすると、時間内にヒナや子供の元へ戻れなくなり、子供らが飢え死にしてしまうことを意味しています」
しかし、この氷山がどの進路をとるのか、また「South Georgia島」に本当にぶつかるのかは、正確には分かっていない。
「Australian Antarctic Program Partnership」の氷河学者・Sue Cook博士によれば、天候のパターンや潮の流れ、氷山の形が予測を難しくしているという。
またこの氷山は薄さが200mしかないため、途中で崩壊したり、座礁したりする可能性もあるそうだ。
この氷山は現在、南部の海に浮かぶものの中でも最も大きく、すでに3年かけて移動しているのだが、この年月は当初の予測よりも長いとされている。(了)
出典元:The Guardian:Giant Antarctic iceberg on collision course with British territory of South Georgia(11/4)
出典元:BBC:A68 iceberg on collision path with South Georgia(11/4)