最もエイリアンぽい昆虫、ブラジルツノゼミが奇怪
奇妙な形の虫は多くいるが、その中でもこれは異彩を放っていると言えるだろう。熱帯の森に棲み、木の葉を食べて暮らす小さな昆虫、Brazilian treehopper(ブラジリアン・ツリーホッパー)だ。日本語ではブラジルツノゼミ。学名はBocydium globulare。その姿は、SFホラー映画に登場しそうな怪物を思わせる。
奇怪な頭部
特に異様に見えるのは頭部の形。4つの玉が突き出し、長い尾のようなものが後ろに伸びている。じつはこれ、本当の頭ではなく、頭の上に付いた飾り。実際の頭や目鼻口はこれの下にある。
それにしても、なぜこんなものが付いているのか?
4つの玉に剛毛が生えていることから、何らかの感覚器官ではないかとも考えられているらしいが、科学者にもはっきりしたことは分からないという。
この虫を記事に取り上げた海外メディアによれば、2つの説が有力らしい。一つは、天敵から身を守るためにこんなものが付いている、という説。4つの玉の部分を頭だと思った鳥が、そこを食べてしまっても、本当の頭はセーフというわけ。
もう一つの説はちょっとややこしい。
熱帯の森には、アリにとりついて、アリを生かしたまま体内で繁殖するカビの一種「Ophiocordyceps unilateralis(昆虫性病原真菌)」がいる。このカビがアリの体内で満杯になると、アリの頭部から「結実体」と呼ばれるものが成長し、それが破裂して中に入った胞子が飛散するようになっているそうだ。この「結実体」の形が、ブラジルツノゼミの4つの玉によく似ている。つまり、ブラジルツノゼミは、結実体に似せた頭部で、「害のある真菌で体の中が一杯だよ」というサインを出し、天敵に食べられないようにしているとのこと。
カメムシの仲間
ツノゼミはセミの近縁ではあるが、分類学上はカメムシ目に属する(Wikipedia)。南極大陸を除く世界中に3000〜3500種以上が分布しており、どの種も頭部に特徴的な飾り(ツノ)があるが、このブラジルツノゼミほど奇怪なものは他に見当たらないそう。(了)
出典元:Odditycentral:The Brazilian Treehopper – The Most Alien-Looking Creature on Earth(9/17)