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スリランカに贈られたゾウ、虐待疑惑からタイへ帰国を果たす

スリランカに贈られたゾウ、虐待疑惑からタイへ帰国を果たす
Twitter/Thai PBS News

20年以上も前に、タイからスリランカに贈られたゾウが、この度母国に帰国した。

 

タイ王室からの贈り物

 

帰国を果たしたのは、タイで「サク・スリン(マイティ・スリン)」と呼ばれていたオスのゾウだ。

 

「サク・スリン」は2001年、タイ王室からの贈り物としてスリランカに送られた3頭のうちの1頭で、宗教的遺物を運ぶため仏教寺院に送られたという。

 

しかしその後、仏教寺院での虐待から「サク・スリン」の健康状態が悪化。タイ政府の要請で、7月3日にタイへ空輸された。

 

特別なコンテナが作られる

 

「サク・スリン」の身長は275センチ、体重4トン。このため輸送には特別なコンテナが作られ、輸送にあたってはロシア製の「イリューシンIL-76貨物機」が使われたという。

 

スリランカからタイ北部のチェンマイまで空輸される際には、約2人の獣医師と、4人のマホウト(プロの象使い)を含む6人のチームが、約6時間のフライトに同行したそうだ。

 

またタイへの移動中にパニックを起こさないよう、数名のマホウトが事前にスリランカに赴き、檻に入れられることにゾウを慣れさせたそうだ。

 

タイのチェンマイに無事に到着した「サク・スリン」は意識もあり、落ち着いているように見えたとか。

 

動物愛護団体の訴えがきっかけ

 

虐待疑惑が持ちあがったのは、スリランカを拠点とする動物愛護団体「Rally for Animal Rights and Environment group」の訴えだ。

 

同団体は2020年、このゾウが長年の過酷な労働と虐待により、健康状態が悪く、緊急の治療が必要であると主張。ゾウの救出を求める請願を開始し、「サク・スリン」をタイに戻すよう求めたそうだ。

 

またタイの外務省も2022年11月に声明を発表し、在スリランカ・タイ大使館による予備調査の結果、ゾウは「健康状態が悪く、劣悪な生活環境にあった」と結論づけ、帰国させるようスリランカ政府に求めたという。

 

実際に「サク・スリン」は体重が少なく、両尻の皮膚が荒れて膿瘍があり、足裏のパッドが薄くなり、左前足が硬く、歩くのも立つのも困難であると報告された。

 

Twitter/M.Senthuran

 

やがて帰国が決まった後、仏教寺院からスリランカ国立動物園に移された「サク・スリン」は、予備的な治療を受け、タイへのフライト前にはより健康になったようだ。

 

今後「サク・スリン」は、タイ北部・ラムパーン県のそばにある、政府の保護施設「Thai Elephant Conservation Center」に運ばれ、そこで30日間リハビリのために過ごすという。

 

再びスリランカに戻すかどうかは決まっておらず、今後の協議事項となっている。(了)

 

出典元:ABC News:An ailing Thai elephant returns home for medical care after years of neglect in Sri Lanka(7/2)

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