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ノルウェーで狐やミンクを扱う毛皮産業が禁止へ

ノルウェーで狐やミンクを扱う毛皮産業が禁止へ
Audun Braastad / NTB scanpix

ノルウェー政府が2025年までに毛皮産業を禁じることを発表し、話題となっている。

 

動物愛護団体からは歓迎する声

 

今回の法案は、先週行われた連立政権における政党間の協力のあり方について協議する中で、合意がなされたという。

 

ノルウェーの大手メディアNTBによると、これらに関わる産業は、合意に従って段階的に廃止されるとのことだ。

 

デンマークの動物保護団体、「Anima」のThorbjørn Schiønning氏は、これについて「欧州における毛皮産業廃止に向けた、素晴らしい勝利だ」と歓迎するコメントを発表している。

 

 

長年続けられてきた議論

 

今回のノルウェーの決断は、この問題に関して長年行われてきた議論の末に下されたもの。

 

2015年には、ノルウェー政府は毛皮産業に対して行ってきた財政支援を大幅に削減することを提案。これに対して、地方の毛皮農家を廃業へと追い込みかねないとし、業界側が猛反発するということがあった。

 

ノルウェーの右翼ポピュリスト政党である進歩党で農林水産相を務めるJon Georg Dal氏は、今回の決断は後退であるとも批判。

 

「今や私の仕事は、毛皮農家が段階的に廃止される期間、十分な補償を受けることが出来るよう保証することとなってしまっている」

 

ノルウェー経済に打撃を与える懸念も

 

 

他方で今回の決定は、ノルウェーの経済界に打撃を与えるという懸念もある。

 

ノルウェー政府によると、かつての同国の経済は過度に毛皮産業に依存していたという。

 

1939年には、ノルウェーは約2万もの毛皮農家を有し、世界で最も多くの毛皮を生産。今日では、ノルウェーの毛皮農家は200ほどまでに減ったものの、それに従事する400人もの人々は危惧を抱いているようだ。

 

一方、ノルウェーではこれまでにも毛皮産業反対を訴えるデモ等も行われてきた。昨年には同様のものとしてはヨーロッパでも最大規模となる、30以上の都市と約9000人もの人が参加したデモも行われている。

 

(上の写真は、オスロで2017年に行われた毛皮産業反対のデモの様子)

 

ヨーロッパ諸国では、これまでにも毛皮産業を廃止することを決定した国家が13カ国もあり、ノルウェーは14カ国目になるという。

 

同産業に従事する人々にとっては厳しいものとなった今回の決断。しかしながら、動物から採取した毛皮でなくとも十分暖かく見劣りしない人口の“毛皮”が手に入る今、動物を犠牲にする毛皮産業の存在は時代遅れなのかもしれない。(了)

 

出典元:The Local Norway:Norway to become first Nordic country to ban fur industries(1/16)

出典元:Telegraph.co.uk:Norway set to become first Nordic country to ban fur farming(1/18)

 

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