フランス大統領選でも多くのフェイク・ニュースが流される:調査結果
4月23日にフランス大統領選挙が行われたが、その際多くのフェイク・ニュースが流されていたことが複数の調査によって明らかにされた。
●ロシアの影響を受けたニュース
英紙Independentによれば、フランス大統領選挙を前にソーシャルメディアのサイトに多くのフェイク・ニュースが氾濫したが、その情報源の多くはロシアから影響を受けたものだったことが、調査で明らかになったという。
まずオックスフォード大学の調査チームは、故意に歪められた情報と事実として提示された意見、さらに論理的に欠陥のあるイデオロギー的に極端な内容や、党派色が特に強い(ハイパー・パルチザン的な)もの、陰謀論的な意見をそれぞれ特定。
その結果、フランスでツイッターにシェアされた政治関連のリンクの4分の1は、意図的に誤った情報に基づくものだと判断したそうだ。
また民間の調査グループ「Bakamo」も先週、偽のニュースに関する調査結果を発表。そこではフェイク・ニュースの多くが、ロシアの影響を受けた情報源から流れてきたとしている。
●実際にあったフェイク・ニュースとは
このような状況は、すでに現実に表面化していたようだ。
仏紙「Le Monde」は、あるウェブサイトを信用できない情報源から作られていると指摘。実際そのサイトは、フランス大統領選挙の4日前に投票結果を発表していたという。
その内容は極右政党「国民戦線」のリーダー、ルペン候補の得票率が28.1%、次いで中道のマクロン候補が22.83%というもので、これはアメリカに住むフランス人による電子投票の結果に基づいたものだと主張したそうだ。
しかし今年の選挙では電子投票は行われず、アメリカ在住のフランス人による投票も4月22日以降の予定となっており、報道された時には実施されておらず、明らかに事実とは異なっていたとしている。
また他にも「右派の候補者、Francois Asselineau氏が第1回の投票で56.91%を獲得」という内容のニュースもあったが、実際の世論調査ではAsselineau候補には1%しか支持する人がいなかったという。
さらに「極左のJean-Luc Melenchon氏が当選確実」というニュースでは、その根拠についてMelenchon氏のツイッターアカウントに寄せられたツイート数に基づいたものだと主張していたそうだ。
●米大統領選挙よりは広まっていない
とはいえオックスフォード大学の調査結果によれば、今回のフランス大統領選挙についての誤ったニュースは、昨年のアメリカ大統領選挙ほど広まってはいないという。
またGeorge Washington大学のClinton Watts氏は、ロシアからのツイッターアカウントはすでに、今年9月に連邦議会選挙があるドイツに関心を向けつつあると指摘。
さらに以前のトランプ・サポーターのアカウントの3分の1が、ドイツの選挙に影響を与えようとしている、と語っている。(了)
出展元:INDEPENDENT:French social media awash with fake news stories from sources ‘exposed to Russian influence’ ahead of presidential election(4/23)