国連安全保障理事会、米のガザ地区での停戦案を支持、「ハマス」も歓迎
国連安全保障理事会で6月10日、アメリカが提案したガザ地区での停戦案について協議が行われ、賛成多数で支持することになった。
14カ国が賛成、ロシアは棄権
国連安全保障理事会では、アメリカが提案する3段階の停戦案が話し合われた。
第1段階では6週間の停戦を行い、ガザ地区の人口密集地からイスラエル軍が撤退。さらに人道支援物資の搬入、「ハマス」に囚われている高齢者や病人、女性の人質と、イスラエルが拘束しているパレスチナ人の交換が行われる。
第2段階では、イスラエル軍がガザ地区から完全に撤退し、敵対的な行為の恒久的な停止と、人質全員の解放が実施されることに。
第3段階では、「ハマス」が拘束した人質のうち、亡くなった人の遺体の引き渡し。さらにガザ地区の病院や学校などの復旧活動が行われる予定となっている。
国連安全保障理事会では、14カ国が賛成票を投じ、この停戦案を支持。ロシアだけが棄権した。
NEWS: UN Security Council adopts resolution calling for full & immediate ceasefire in Gaza.
The resolution also calls for the immediate, unconditional release of all hostages. https://t.co/pJSWyktS2v pic.twitter.com/sl2kvTKy8a
— United Nations (@UN) June 10, 2024
ロシアや中国が拒否権を発動せず
アメリカ側は、ジョー・バイデン大統領が提案したこの停戦案が、国連の承認を得られるよう求めてきたという。
またパレスチナ自治政府も賛成したため、ロシアや中国が拒否権を発動することは難しくなったそうだ。
この決議文では「アメリカやカタール、エジプトが、全ての合意に達するまで、そして第2段階が開始されるようになるまで、引き続き交渉が継続されるよう努力すること」としている。
「ハマス」側は停戦案を歓迎
ただ、決議文には「イスラエルが停戦案をすでに受け入れた」と書かれているが、実際イスラエルのネタニヤフ首相は、戦闘を続ける構えを見せ、同様の発言を繰り返している。
またイスラエルでは9日に、中道派のベニー・ガンツ前国防相が、戦時内閣から離脱を表明。ネタニヤフ首相は、戦闘継続を望む、極右閣僚に依存することになった。
一方、「ハマス」側は、国連安全保障理事会の決議を歓迎。声明の中で、「我々は、恒久的な停戦、(イスラエル軍の)ガザ地区からの完全撤退、捕虜交換、再建計画、国内避難民の帰還、人口構成の変化やガザ地区の面積の縮小の拒否、ガザ地区への人道支援の受け入れを歓迎する」と伝えた。
その上で「これらの約束をどう実施するかについて、間接的に交渉するために、われわれの兄弟(カタールやエジプト)である仲介者と協力する用意があることを確認する」と述べた。(了)
出典元:The Guardian:UN security council endorses US-backed hostages-for-ceasefire Gaza deal(6/10)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: UN Security Council passes truce resolution(6/10)