イスラエルのネタニヤフ首相、ガザ地区の全てを支配下に置くと表明

イスラエルのネタニヤフ首相は8月7日、メディアに対し、ガザ地区を支配下に置くと表明した。
ガザ地区を統治するつもりはない
ネタニヤフ首相は7日、アメリカのFox Newsのインタビューに応じ、ガザ地区の全てをコントロール下に置くのか、と問われ、次のように答えた。
「我々はそれをするつもりだ。我々の安全を確保するため、ハマスを排除するため、ガザ地区の人々を解放し、市民の統治体制に引き渡すためだ。それはハマスではないし、イスラエルを破壊しようと唱える人物でもない。これが我々のしていることだ。我々は、我々自身を解放したい。ガザ地区の人々を、恐ろしいハマスの恐怖から解放したい」
しかし同時にイスラエルはガザ地区を統治したいと考えているのではなく、周辺の安全を確保したいだけだと述べた。
この発言に対して「ハマス」側は、ネタニヤフ首相が、ガザ地区の人々を移住させ、ジェノサイドの継続を計画していると非難。またこの発言は、停戦交渉による解決を転換させ、合意に近づいていたにもかかわらず、交渉から撤退した本当の動機だと指摘した。
さらに、ネタニヤフ首相が人質を犠牲にしようとしているとし、「ナチスの軍隊による占領は高くつくだろう」と述べたという。
「民族浄化の準備をしている」
イスラエルのメディア「Haaretz,」のジャーナリスト、Gideon Levy氏はネタニヤフ首相の「ガザ地区を統治しない」という発言について、疑問を呈し、現実的ではないと指摘。次のように述べた。
「これ(発言)は、本当の意図を覆い隠すための、もう一つの方法だ。その意図は明白で、ガザ地区の人々を、『人道的』(と称する)強制収容所に押し込め、その後ガザ地区から追いやることだ。実質的に、イスラエルはガザ地区で、民族浄化を行うことを目指している。イスラエルは民族浄化の準備をしている。私たちは、それに向き合わねばならない」
1万2000人の子供が急性栄養失調
一方、ガザ地区の保健当局は8月7日、過去24時間で、新たに4人が飢餓や栄養失調により死亡したと明らかにした。
これにより飢餓関連で死亡した人の合計は、96人の子供を含む、197人になったという。
ユニセフ(国連児童基金)は、ガザ地区では子供の急性栄養失調が急速に増加しているとし、2月の時点で2000人だったのに比べ、現在では約1万2000人が苦しんでいると指摘。支援物資を子供たちに届けるため、今すぐに停戦を行うよう訴えた。
米極右議員もジェノサイドを批判
アメリカ共和党の極右下院議員で、トランプ氏の熱烈な支持者であるマージョリー・テイラー・グリーン氏も先週、ガザ地区でジェノサイドが行われ、人道危機や飢餓が起きていると非難した。
この発言を受け、アメリカで最も影響力のある外交政策ロビー団体の1つである「アメリカ・イスラエル公共問題委員会 (AIPAC)」は8月7日、支援者に向けたメールで、グリーン下院議員を批判。
「(民主党の議員と)同じ卑劣な言辞を吐き出し、アメリカ・イスラエル同盟に反対票を投じている」と述べた。(了)
AIPAC, the pro-Israel lobby group, says Republican Congresswoman Marjorie Taylor Greene’s criticism of Israel is ‘a betrayal of American values’ https://t.co/fYD6Acwuic pic.twitter.com/x5t7rR4z5p
— Al Jazeera English (@AJEnglish) August 7, 2025
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel’s Netanyahu says will take over Gaza; starvation deaths rise(8/7)