X_Desiree Rugani

アメリカのトランプ大統領は、「ハマス」に対して、ガザ地区で敵対勢力に対する攻撃を行わないよう警告した。

イスラエル軍に再び攻撃させる？

トランプ大統領は10月16日、「ハマス」に対し、「ガザ地区で内紛が続く場合、我々には、突入して、彼らを殺害する以外に選択肢はない」と警告した。

しかしトランプ氏は、記者からの問いかけに対し、アメリカ軍をガザ地区へ派遣することを否定。次のように述べた。

「我々が派遣するわけではない。そうする必要もない。非常に近い場所に、我々の支援の下で、容易に任務を遂行する人々がいる」

この「任務を遂行する人々」がイスラエル軍を指すのか、トランプ大統領は明らかにしなかったが、もし再びイスラエル軍が投入されれば、停戦合意が破棄されることになる。

ガザ地区の警察組織はほぼ消滅

トランプ氏は10月14日、「ハマス」が「非常に凶悪なギャングを複数排除し、ギャングのメンバー数人を殺害した」との認識を示し、「ハマス」がガザ地区内で敵対勢力に対して行っている殺害行為に対し、我慢の限界があることを示唆したという。

またトランプ氏は、「ハマス」の武装解除についても、「彼らは武装解除するだろう。もしそうしないなら、我々が武装解除させる。それは迅速に、そしておそらく暴力的に行われるだろう」とも述べていた。

ガザ地区の警察は「ハマス」によって運営され、8年前に権力を掌握して以来、高い治安を維持し、同時に反対派の弾圧も行ってきた。

しかし、ここ数カ月でイスラエル軍がガザ地区の大部分を制圧したため、警察組織はほぼ消滅。そしてイスラエルの支援を受けている「反ハマス派」を含む、地元の有力な一族や武装集団が、この空白を埋めようと躍起になっているという。

彼らの多くは、人道支援物資を横取りし、それを営利目的で売却し、ガザ地区の飢餓危機の一因になったとして非難されているそうだ。

そしてイスラエル側は、この停戦合意を崩壊させ、再びガザ地区への攻撃を行う機会を伺っている。

新たに1人の人質の遺体を引き渡す

ガザ地区では10月17日、「ハマス」の武装部門であるカッサム旅団が、イスラエル人の人質1人の遺体を収容し、赤十字に引き渡したという。

イスラエル側も、人質の遺体が入った棺が赤十字に引き渡されたことを確認。現在、棺はイスラエル軍のいる場所へ向かっているそうだ。

ただ「ハマス」側は、人質の遺体の捜索には掘削機や重機が必要だと主張しており、それらがガザ地区へ搬入されるよう要求している。

イスラエル軍、約10人が乗った車両を攻撃

ガザ地区の民間防衛隊・広報担当者のマフムード・バサル氏によれば、停戦以来、瓦礫の中から280体以上のパレスチナ人の遺体を収容したという。

またバサル氏は、イスラエルによる2年間の空爆で破壊された建物の下には、まだ約1万人のパレスチナ人が埋もれているとの見方を示し、声明で次のように述べた。

「民間防衛チームは極めて困難な状況下で、24時間体制で活動していますが、任務遂行には最新鋭の重機が必要です。私たちは、緊急に必要とされているものや、収容活動に必要な技術的要件のリストをすべての国際機関に提出しました」

バサル氏によれば、民間防衛隊には毎日数十件も、瓦礫の中から家族の遺体を収容してほしいといった要請が寄せられているという。

またバサル氏は、10月17日にもガザ市東部のザイトゥーン地区で、イスラエル軍が民間人の乗った車両を攻撃し、「新たな虐殺」を行ったと明らかにした。

その車には、シャアバン家の11人（子供7人と女性2人を含む）が乗っており、一家は市の東部へ進み、イスラエル軍が駐留するイエローラインを越えたところだったそうだ。しかしまだ、乗客全員が殺害されたかどうかは明らかにされていない。

イスラエル軍は、駐留する場所へ接近するものを攻撃すると警告してきたが、バサル氏は次のように非難した。

「イスラエル軍には、警告や家族が死に至らないよう、対処することもできたはずだ。今回の出来事は、占領軍が依然として血に飢えており、罪のない民間人に対して犯罪を行おうと決意していることを裏付けている」（了）

出典元：AP：Trump warns Hamas ‘we will have no choice but to go in and kill them’ if bloodshed persists in Gaza(10/17)

出典元：Aljazeera：LIVE: Hamas hands over one more Israeli captive’s body(10/17)