メキシコの大統領が500年前の大量虐殺について、スペインとバチカンに謝罪を要求
メキシコの大統領が、スペイン国王とローマ法王に対して、謝罪を求める手紙を送ったことを明らかにした。
地元住民への謝罪を求める手紙
BBCによればメキシコのAndrés Manuel López Obrador大統領は、スペインの国王フェリペ6世とローマ法王に宛て、手紙を書いたという。
その内容は、約500年前にスペイン人がメキシコを征服している間、地元住民に対し人権侵害を行ったことについて、謝罪を求めるものだったそうだ。
しかしスペイン政府はこの要求を拒否。逆に建設的な視点を持つよう求めた。
Estamos en Comalcalco, vamos a Centla a conmemorar 500 años de la batalla de los españoles contra la resistencia de los mayas-chontales. pic.twitter.com/glYO0eAMtX
— Andrés Manuel (@lopezobrador_) March 25, 2019
300年間もスペインの法律に縛られる
そもそもメキシコは19世紀の初めに独立するまで、約300年間もスペインの法律の下に置かれていたという。
そしてローマカトリックの国であるスペインは当時、アメリカ大陸などの地域にカトリック教を広める活動を行い、さまざまな地域を征服していったと言われている。
両国の主張とは?
一方、メキシコのObrador大統領は、過去70年間で初めての左派系のリーダーとされ、昨年12月に就任して以来、腐敗防止や不平等及び格差是正、数百万人のメキシコ人の貧困撲滅を公約に掲げてきたそうだ。
そして3月25日、Obrador大統領は夫人とともに古代遺跡に立ち、演説する動画をツイッターに投稿、手紙を送ったことを明らかにした。
「虐殺を認めるよう、そして現在私たちが人権と呼んでいるものの侵害があったことについて土着の人々に対し謝罪をするよう、私はスペイン国王に手紙を送り、もう一通をローマ法王へ送りました」
「大量虐殺がありました。いわゆる『征服』は剣と十字架によって行われたのです。彼らは寺院の上に教会を建てました。和解の時は訪れています。しかし最初に、彼らは許しを求めるべきです」
これに対し、スペイン政府は次のように述べたという。
「500年前、現在のメキシコ領土へのスペイン人の到着は、現代的な考え方の観点から判断できません。われわれ2つの兄弟である国家は常々、建設的な視点を持ち、怒ることなく過去を読み解き、共有する方法を理解してきました」
またバチカンからの正式な返答はないようだが、ローマ法王フランシスコは3年前にメキシコを訪れた時、先住民に対し、彼らが社会から除外されていたことについて、許しを求めたという。(了)
出典元:BBC:Mexico demands apology from Spain and the Vatican over conquest(3/26)
出典元:The Guardian:Mexico demands Spain apologize for colonial abuse of indigenous people(3/25)