「中国はウイグル人を大量虐殺している」米国務長官がジェノサイドと認める
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が昨日、ウイグル人に対する中国政府の政策を、痛烈に批判し、「ジェノサイド」だと認めた。
「人道に反する罪を犯している」
ポンペオ国務長官は1月19日に声明を発表。次のように述べて、中国政府が行ってきたウイグル人への弾圧を厳しく非難した。(以下は要約となる)
「中国政府は、ウイグルの人々や他のイスラム教徒のマイノリティに対して、人道に反する罪を犯し、ジェノサイド(大量虐殺)を行っている。(略)ジェノサイドは現在も進行中である。私たちは中国の政党国家がウイグル民族を壊滅させようとする組織的な試みを、目撃し続けている。(略)中国政府は強制的な同化を行い、最終的に弱い立場にある民族的・宗教的マイノリティグループの殲滅に取り組んでいる。しかも(中国政府は)同時に、自分たちの国が世界のリーダーであると主張し、彼らのイメージで国際的なシステムを作り替えようと試みている」
※ジェノサイドとは、特定の民族、人種集団を滅ぼすこと(民族浄化)を目的とした計画的な集団殺戮、大量虐殺。
「強制収容所」には100万人以上を収容
中国政府は、これまでもウイグル人に対する人権侵害を否定。新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒をターゲットにした措置は、経済発展とテロ対策であると主張してきた。
しかし再教育施設と呼ばれる事実上の「強制収容所」には、100万人以上のウイグル人が拘束されていると言われている。
しかも中国政府は、ジャーナリストや人権団体、国連監視団が施設へアクセスすることも厳しく制限してきたそうだ。
女性に不妊手術などを行い、出生率も激減
またこのような施設などから生還した人々によれば、拘束された人々は移動や宗教・表現の自由も制限され、強制労働もさせられ、拷問も行われるなど、広く人権侵害が行われているという。
さらに最近では、生存者や研究者までが、中国政府によりウイグル人の女性らが強制的に不妊手術や中絶をさせられ、その結果出生率が急激に減少していると指摘している。
このため次期大統領になるジョー・バイデン氏も2020年の大統領選挙期間中、声明で中国政府のウイグル人に対する措置を「ジェノサイド」と認めており、現在米議会でも超党派でこれに対する支持が高まっているという。
米がジェノサイド認定するのはISIS以来
アメリカ政府が公式に「ジェノサイド」認定したのは、イラクやシリアの少数民族へのISISの犯罪に対して、オバマ政権が認定して以来のこととされている。
ただポンペオ国務長官は、ミャンマーでロヒンギャの人々が迫害された事件については、「ジェノサイド」と認定していない。
その一方でポンペオ国務長官は、新疆ウイグル自治区に対する制裁措置で中国の州当局を繰り返し標的にしており、国土安全保障省もこの地域からの綿花やトマト製品の輸入を禁止してきたそうだ。
しかし元国家安全保障顧問のジョン・ボルトン氏によれば、トランプ大統領は中国の習近平国家主席に大量拘留キャンプ(強制収容所)を建設するよう奨励したという。
もっともトランプ大統領はそれが事実であることを否定。彼は「貿易協定の真っ最中」であったため、「強制収容所」に対する中国当局者への制裁を阻止した(制裁しなかった)と、昨年6月に語っている。(了)
出典元:ABC News:US calls China’s abuses of Muslim minorities ‘genocide’ and ‘crimes against humanity’(1/20)