超党派の米議員が政府に対し、ウクライナへの戦闘機の供与を求める
ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカやNATOに戦闘機などの供与を求めているが、アメリカのバイデン大統領は応じていない。
アメリカ議会では、どのような意見や動きがあるのだろうか?少し前のCBSの記事を元にお伝えする。
超党派の58人の議員がグループを結成
3月14日に公開された記事においてCBSニュースは、民主党や共和党の両議院の間で、ウクライナに戦闘機や武器を提供するよう求める声が大きくなっていると紹介している。
その記事によれば、13日には超党派の58人の議員がグループを結成し、アメリカがウクライナにスティンガーミサイル、防空システム、戦闘機などの軍事支援を行うよう求めたという。
同グループは声明で、次のように述べている。
「ウクライナ軍の英雄的で巧みな抵抗にもかかわらず、ロシアは現在ウクライナに対して空での優位性を保っている。この領域におけるロシアの優位性は、ウクライナ人が必要な軍事支援を受けなければ、すぐに制空権の掌握に発展する可能性がある」
その上で同グループは、バイデン政権に対し、NATOの同盟国と協力して、利用可能な「S-300地対空ミサイルシステム(ソ連製)」のウクライナへの移送を手配し、加速させるよう要請。次のように述べた。
「ウクライナの軍人が以前操作し、維持していたソ連時代のプラットフォームを提供することは、戦場での成功に不可欠であり、またアメリカの防衛技術がロシア人の手に渡るのを防ぐことになる」
「なぜ、やらないのか理解できない」
また13日には、共和党のロブ・ポートマン上院議員と民主党のエイミー・クロブシャー上院議員が、ロシアの空軍力に対抗しようとするウクライナにとって「戦闘機は重要な手段である」と、それぞれ発言した。
2人は、他の2名の代表団と共に、12日前後にポーランドを訪れ、当局者と会談し、ウクライナからの避難民の現場を視察したという。
ポートマン上院議員はCNNの取材に対して次のように述べている。
「ウクライナ人から直接聞いたのは、彼らが(ソ連製のMiG-29戦闘機を)非常に欲しがっているということだ。彼らは、自分たちが戦うチャンスを得るために、空をよりよく支配する能力を求めている。だから、なぜそれをやらないのか理解できない」
また「最善」ではないものの、「S-300」のような対空システムも依然として「非常に効果的」であるとし、「飛行機も不可欠だ」と述べた。
民主党のエイミー・クロブシャー上院議員も、バイデン大統領とおよそ10日前に話し、ウクライナへの戦闘機派遣を支持すると明言したという。
そして彼女はCNNのインタビューにおいても、次のように述べている。
「私はまだ、ある時点で(ウクライナが)飛行機を持つことを除外していません。しかし、繰り返しますが、一日一日を大切にし、最善の防衛システムを決定していくべきです。この種のことは常にテレビで議論できるものではないのですが、NATOがウクライナを守るために何をしたいのか、プーチンに道筋を教えることになるのです。私たちが覚えておかなければならないことの1つは、これはすべて防空についてである、ということです」
その上で、飛行機やドローン、スティンガーやジャベリンミサイルは、ロシアの継続的な攻撃からウクライナを守るのに役立つだろうと述べた。
「外交上のミステリー」
実は、アメリカはポーランドとの間で、ロシア製の航空機をウクライナに送るという取り決めを進めていたという。
アントニー・ブリンケン国務長官も3週間前、メディアのインタビューで、ポーランド政府が航空機をウクライナに送ることに「ゴーサインを出した」と述べていたそうだ。
しかしその後、ポーランドがドイツの米軍施設であるラムシュタイン空軍基地に自国のMiG-29戦闘機を配備し、アメリカが「自由に使えるようにしてほしい」と申し出た後、アメリカの国防総省はこの提案を拒否した。
ウクライナは現在も、戦闘機や戦車などの供与を求めている。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、戦闘機については「差し迫った問題」だとして、次のように述べている。
「もし我々が空の支配権を失えば、2つのことを防ぐことはできない。ロシアの爆撃機が我々の都市を破壊し、民間人を殺すのを防ぐことができない。また道路を使ってウクライナの大きな都市に向かう、ロシア軍の一団を破壊することができない。この2つの目的を達成するために、我々はより多くの飛行機を必要としているのです」
クレバ外相は、ウクライナに戦闘機を与える計画を巡るアメリカとポーランドのやり取りに関しては、「外交上のミステリー」だと述べている。(了)
出典元:CBS:Bipartisan support for U.S. to give Ukraine planes and weapons grows(3/14)