豪の議会で宣誓式、先住民の上院議員が英女王を「植民地にした者」と呼ぶ
オーストラリアの議会で、新たに上院議員となった女性が宣誓式を行ったのだが、その際に異例の出来事が起きた。
「植民地化した女王陛下」
その女性とは、オーストラリアの先住民、アボリジニの子孫である、リディア・ソープ上院議員だ。
彼女は8月1日、オーストラリアの議会で就任の宣誓を行ったのだが、その際イギリスのエリザベス2世を「植民地にした女王」と呼んだという。
「緑の党」に所属するソープ議員は宣誓において「私、主権者、リディア・ソープは、(われわれの土地を)植民地にした女王陛下エリザベス二世に忠実であり、真の忠誠を尽くすことを、厳粛かつ誠実に誓います」と述べたそうだ。
An indigenous Australian senator referred to Queen Elizabeth—who is also Australia’s head of state—as a colonizer as she took her oath of office.
The senate president informed her she was required to recite the oath as written. https://t.co/QQT0qa572M pic.twitter.com/RV3GvFveo2
— ABC News (@ABC) August 1, 2022
議長に注意され、言い直す
ソープ議員はブラックパワーのように右手の拳を振り上げたまま、抗議の意思を示していた。
しかし議長のスー・ラインズ氏は「ソープ議員、ソープ議員、カードに印刷されているとおりに宣誓を暗唱してください」と求めたという。
そして最終的にソープ議員は、議長に言われたとおりに言い直し、宣誓式を終えたそうだ。
宣誓式を終えた後、ソープ議員はツイッターに「主権は決して譲り渡さない」と投稿した。
Sovereignty never ceded. https://t.co/OowLrlUApy
— Senator Lidia Thorpe (@SenatorThorpe) August 1, 2022
共和制移行への国民投票も実施
オーストラリアは、100年以上にわたってイギリスの植民地で、その間何千人もの先住民が殺害され、地域社会の人々は大規模な移住を余儀なくされたという。
1901年に事実上の独立を果たしたが、本格的な共和制には至っておらず、現在も英連邦(Commonwealth of Nations)に属し、国家元首(君主)はエリザベス2世(女王)となっている。
1999年、オーストラリアでは君主制を廃止にするかどうか、の国民投票が行われたが、この時は僅差で君主制存続という結果となった。
世論調査では、ほとんどのオーストラリア人が共和制に賛成しているが、国家元首をどのように選ぶかについては、ほとんど意見が一致していないという。
現在も、共和制への移行作業が進められているようだが、ソープ議員は「過去に関する真実と和解」、そしてアボリジニの歴史的土地所有権を法的に認める「条約」を求めているそうだ。(了)
出典元:CBS:Indigenous Australian Senator Lidia Thorpe blasts “colonizing” Queen Elizabeth in oath of office(8/1)