ゼレンスキー大統領、ロシアへの「先制攻撃」発言を否定
ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアの核攻撃を防ぐために「先制攻撃」の必要性を訴えたことが、波紋を呼んでいる。
「ロシアの核攻撃を待つのではなく…」
ゼレンスキー大統領は10月6日、オーストラリアのシンクタンク「ローウィー研究所」のインタビューにビデオで出演し、講演を行った。
その際、「ロシアの核兵器使用を抑止するために、NATOにさらに何をしてほしいとお考えですか?」と問われ、「NATOは、ロシアが核兵器を使用する可能性をなくすべきだ」と答えたという。さらに大統領は次のように続けた。
「しかし、重要なことは、2月24日以前と同様に、もう一度国際社会に訴えることです。先制攻撃が必要です。そうすれば、ロシアが核兵器を使用したら、または使用しなかったら、何が起きるかを彼らは知ることになるでしょう」
「ロシアの核攻撃を待って、『ロシアがこうしたのだから、我々はこれを奪ってやれ』とならないように、圧力のかけ方を考え直してほしい。これこそNATOがすべきことだ。(ロシアに)圧力をかける順番を考え直すべきだ」
「ウクライナ語が誤解された」
この「先制攻撃」という言葉は波紋を呼び、ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「ゼレンスキー氏の発言は、世界大戦を始めようとする呼びかけに他ならない」とし、「予期せぬ悲惨な結果」につながると指摘した。
その後、ゼレンスキー大統領の関係者は、ロシアへの核の先制攻撃を呼びかけたことを否定。大統領が使ったウクライナ語が(翻訳により)誤解されたのだと述べた。
またゼレンスキー大統領の顧問であるセルヒイ・ナイキフォロフ氏も、「大統領は、2月24日以前のことについて話したのです。当時は、ロシアが戦争を始めるのを防ぐために、予防措置をとる必要があったのです。ただ、そのときの措置は予防的『制裁』だけ(が準備されていた)ことを思い出してほしいのです」と語った。
ロシアが社会的な準備を始めている
またゼレンスキー大統領はその後、BBCのインタビューにおいて、ロシア政府が核兵器を使用する可能性に備えて「社会の準備」を始めているとし、次のように述べた。
「彼らは社会の準備を始めている。それは非常に危険なことだ。もっとも彼らは核兵器を使用する準備ができていない。しかし、彼らはコミュニケーションを取り始めている」
その上でゼレンスキー大統領は、ロシアの脅威は「地球全体のリスク」であるため、今すぐ行動を起こす必要があるとし、ロシアに対し先制的な「制裁」を科すべきだと主張した。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war: Russians being prepared for nuclear war, warns Zelenskiy; White House says no indication of immediate Russian plans – as it happened(10/7)
出典元:BBC:Ukraine war: World must act now to stop Russia nuclear threat – Zelensky(10/7)